「やりすぎコージー」のカード当ての検証

本城です。

1月18日の「やりすぎコージー」(テレビ東京)で放送されたカード当ての透視について、探していた現物のカードを入手できたので検証を行なってみました。

まず検証に使用したカードは、番組でも実際に使われていた「タリホー」(TALLY-HO)のサークルバックの赤と、「ウィンドミル」(WINDMILL)の型番1027です。タリホーの方はマジックでもよく使われるのですぐにわかったのですが、ウィンドミルの方はそれほど一般的ではなく、裏の模様だけではどこのカードかわからなかったので、ジョーカーの絵柄からメーカーを探し出しました。

ところがメーカーはわかったものの、裏の模様の種類がたくさんありすぎて肝心の型番が検索してもわかりません。そこで本社に直接問い合わせてカタログの中から探し出してもらうことにしました。そうしてわかったのがウィンドミルの型番1027です。

左がウィンドミル、右がタリホー

左がウィンドミル、右がタリホー

さて番組と同じカードが用意できたので検証を始めます。まず番組ではエース4枚とジョーカー1枚の計5枚を選び出し、それをフットボールアワーの後藤氏がシャッフルして裏向きに並べ、透視を行なう木谷真規氏は、その裏向きの5枚の中からカードの臭いを嗅いでジョーカーを当てていました。番組での連続成功は7回。これが偶然に当たる確率は78125分の1ですから、まぐれ当たりということはまず考えられません。

検証では番組と同じように5枚のカード(下の写真)を使います。写真だと光の当たり方で色が少し違って見えますが、肉眼では全部同じ色です。裏面の模様もまったく同じです。なので、カードの裏面自体にもともとある色や模様を視覚で見分けていたということはなさそうです。(念のためメーカーにも問い合わせましたが違いはないとのことでした)

次に視覚にまつわるものとして、番組ではカードが数ミリほど反っていたので、白い机に反射してジョーカーだけに使われていた黄色が、臭いを嗅ぐ仕草で顔を近づけたときに横目で見えたのではないか、という疑いも一部では出されていました。

確かに白くて少しでも反射する机というのは、本来なら避けなければなりません。そういう意味でも番組の透視は杜撰だったと思います。ただ数ミリ反っただけで反射して見えるのかというと、番組と同程度だと思われる白い机で試してみましたがまったく反射して見えませんでした。そのためこの説も可能性は低いように思います。(他に下からライトを当てたという説は同じ机を用意できなかったので検証不能)

一方、嗅覚はどうでしょうか。まず開封時に臭いを嗅いでみましたら二組とも独特の臭いがしました。新品のカードであれば臭いは多少するようです。しかし問題は、その臭いで5枚のうちの1枚を嗅ぎ分けることができるかどうか。

私の嗅覚はおそらく人並みです。その私がカードの臭いだけを頼りに番組と同じようにカード当てを行なってみたところ、二組とも裏面では当てることができませんでした。臭いの違いがわかりません。

ところが試しに表面にして目隠しをし、直接臭いを嗅いで違いがわかるかやってみたところ、ウィンドミルはわからなかったのですが、タリホーは一枚だけ臭いが強く、それを選んだらジョーカーでした。ただ、これだけでは勘違いや偶然の可能性もあります。引き続き友人に協力してもらいながら嗅ぎ分けを行なうと、やはり一枚だけ臭いが強く、2度目も成功。

さらに続けた結果、番組の連続7回をこえて、連続10回成功しました。これが偶然に当たる確率は約976万分の1ですから、まぐれということはないはずです。

私は当初、カードの臭いを嗅ぎ分けることに対してかなり懐疑的だったのですが、実際に試してみれば確かに臭いの違いはあるようです。ただ裏面では当てられなかったことや、表面でもウィンドミルでは当てられなかったことを考えると、番組のように当てるためには人並み以上の特に優れた嗅覚が必要なのかもしれません。

「やりすぎコージー」のカード当ての検証”へ8件のコメント

  1. ながぴい より:

    へえ~、おもしろい。
    何回か練習したら、当てられるようになるとか?

  2. 頭文字(D) より:

    いつも胸のすくような解説をありがとうございます。m(_ _)m
    このケースは、「木谷さんの臭覚が一般の人より優れている事によって
    起きている現象」であって、マジックではなく「特技」に近い能力なのに、
    番組では「超能力」だと扱っている、という結論でよいでしょうか?
    木谷さんのブログで次のような文章を見つけました。
    (*以下ご本人のブログから引用。)
    「5枚のカードの中から、あたりを当てるとかは特技ですが
    ギャンブルでその能力は発揮しないですし、私も自分で
    それが超能力だとは思っていません。マグレだと。。。
    嗅覚から感じる勘が鋭いのは事実ですが、直感なのか?
    自分でも分かりません!「勘を信じる」それだけです。」
    *以上です。
    このご本人のコメントから見ても、今回の現象は
    木谷さんの「臭覚の鋭さ」が理由で間違いないと感じました。
    *ブログからの引用に問題がある場合は、消去をお願いします。

  3. 頭文字(D) より:

    ↑上に僕が書いた「臭覚」は「嗅覚」の間違いです。
    申し訳ありません。m(_ _)m

  4. 本城 より:

    >ながぴいさん
    嗅覚が良くて、新品のカードを何組も使って練習すればできるようになるかもしれませんね。表面の目隠しで当てるやつなら練習なしでもできると思います。
    >頭文字(D)さん
    今のところはそういった結論になります。本人も超能力だとは思っていないようですね。番組ではフットボールアワーが「嗅覚の域を超えている」とか言って煽っていましたが、本人はそれほど大きなことは言っていませんでしたし。

  5. アル より:

    匂いか~w
    私はその可能性について頭から考えてませんでした。実物に実際触れてこその見事な検証ですね。
    昔ジミー大西さんが犬に匹敵する嗅覚を持っているという実験をテレビでやってました。匂いで嗅ぎ分けられる人がいても不思議ではないですね。

  6. 本城 より:

    >アルさん
    そういえばジミー大西も異常に鋭い嗅覚を持っているらしいですね。ジミー大西ならこのカード当てを裏面でも成功できるんじゃないかな。

  7. 紗崎 より:

    意外や意外。においで分かる可能性があるとは……
    いやー、やっぱり実際にやってみるってのは重要ですね。
    ただ、それでも紙にマジックで書いてたのはわかんないんですよね……
    ハズレにも印書いたり、顔を近づけなくても当てられたわけですし……

  8. 本城 より:

    >紗崎さん
    紙にマジックで書いたやつは、時間差が関係するのかなと思いました。最初に紙に書いた時と、一度実演してクレームがついた後に書いた紙では数分の差があるはずなので、臭いの強さにも違いが出るのではないかと。
    一方、顔を近づけないというのは、ロシアのESPカードのやつですかね? あれはやり方自体はいろいろ考えられると思いますが、裏面のカードの情報や、隠した紙の様子が詳しくわからないので、あの場でやったのはこれだと言えるほどハッキリしたことはわかりません。

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