「妖怪と都市伝説を人類学の視点から読み解く」講座
本城です。
『謎解き 都市伝説』の共著者でもある廣田龍平さんが、3月5日(日)に以下の講座を開催することになりました。
Zoomを使ったオンライン形式ですので、パソコンかスマホがあればどこからでも参加可能です。ご興味のある方はぜひご参加ください。
日時
3月5日(日)18時から2時間程度
内容
廣田龍平さんの著書『妖怪の誕生』(青弓社)をもとに、妖怪と都市伝説を人類学の視点から読み解きます。以下は廣田さんによる内容紹介です。
妖怪の実在を信じるのでもなく、疑うのでもなく、かといって実在はどうでもいいとするのでもなく、妖怪を伝えてきた人々と妖怪との関係を描くにはどうすればいいのでしょうか。『妖怪の誕生』は、この問題に、文化人類学的・民俗学的に取り組んだ本です。
この本は、現代の文化人類学の言葉づかいで書かれているため、人類学者以外にはとても読みにくいものとなっています。そのため、今回は、この本を理解するために必要なことを、できるだけわかりやすく伝えることを目指します。
『妖怪の誕生』は、2010年代までの妖怪学をふまえて書かれています。そのため、まずは柳田國男や小松和彦などの研究がどのようなものだったかを説明します。
ちょうど2010年代に入り、日本の文化人類学界隈で「存在論的転回」という話題が流行りはじめ、そのころ大学院生だった筆者は、大いに影響を受けました。なかでも有名なのが、昨年亡くなったラトゥールのアクターネットワーク理論(ANT)です。『妖怪の誕生』を理解するためには、どうしても必要な事項であるため、これについて詳しく説明します。ANTなどが「信じるのでもなく、疑うのでもなく、どうでもいいとするのでもない」立場を築くのに役立つことを話していきます。
次に、『妖怪の誕生』の内容紹介に入ります。まず、「信じるのでもなく、疑うのでもなく、どうでもいいとするわけでもない」方針を固めると、「非実在」や「超自然」といった、これまで妖怪学で前提とされてきた概念は使いづらくなります。それにしても、なぜ「妖怪は超自然」という考え方が一般化したのでしょうか。このあたりの事情について、200年ほどさかのぼって考えてみます(本書の前半)。
次いで、ANTなどを本格的に使った本書後半の話にうつります。どの章も、妖怪の話を紹介しながらこれまでの研究を批判し、妖怪の話と妖怪研究を並べて、両者の関係性を示すという構成になっています。それらの骨子を図解していきます。
ところで、次に出た『謎解き「都市伝説」』では、筆者は都市伝説や学校の怪談の内容を疑ったり否定したりしています。なぜでしょうか。この「矛盾」についても説明していきます。さらに、どういう都市伝説ならばANTなどの方法論が使いやすいかについても考えていきます。
現代の文化人類学は、超常現象をこれまでにないやり方で論じることができます。この講演が、新しい見方を少しでも見せることができることになるならば幸いです。
講師プロフィール
廣田龍平(ひろた・りゅうへい)
1983年生まれ。法政大学ほか非常勤講師。専攻は文化人類学、民俗学。著書に『妖怪の誕生』(青弓社)、共著に『謎解き「都市伝説」』(彩図社)、訳書にマイケル・ディラン・フォスター『日本妖怪考――百鬼夜行から水木しげるまで』(森話社)など。
参加費
1,000円
申し込み方法
こちらのフォームよりお申し込みください。