紙コップ透視実験の検証
本城です。
3日の記事で紹介した「超能力スペシャル2010 今夜奇跡が?世界最強超能力者×最新脳科学 ナゾ解明プロジェクト」という番組ですが、その中でも紙コップの透視が異常に成功率が高く、気になったので検証してみました。
その前に、そもそも紙コップを使った透視とはどんなものか、番組をご覧にならなかった方のために簡単に説明しておきます。番組ではまず1個の紙コップの底に任意のマークを描き、その上にもうひとつ別の紙コップを被せて見えなくします。これが「当たり」となる紙コップのセットです。
そして他には同じ紙コップを4×2の計8個用意し、それぞれを重ねてマークが何も描かれていない4組の紙コップセットをつくります。あとは、マーク付きの紙コップセットとまぜてどれかわからなくし、5つの中からマークが描かれている1つを当てるということをやっていました。
番組では5個の中から1つを当てる実験で、8回連続と9回連続、それに500個の中から1つを当てるやつを1度成功させていました。これが超能力によるものだったらスゴいことです。(実験の条件は甘すぎますが)
しかし私は番組を見ていて疑問を持ちました。出演者がマークを描く際には、太くて黒い油性ペンで描いていたのですが、連続で成功していたときのマークは明らかに黒の面積が大きかったんです。(カーネリアンの畑が描いたマークは大きな四重の丸、小林アナは中を黒く塗りつぶしたハート、最後の500個は出演者全員による寄せ書き)
これだと、重ねたときにわずかでも色の違いが出てしまうのではないか? その違いを手がかりにすれば超能力じゃなくても当てられるのではないか? というのが私の考えでした。
そこで検証開始です。まずは同じ素材を用意。番組で使っていた紙コップは縦にオレンジのストライプが入ったものだったので、そのデザインを手がかりにメーカーを突き止めました。東罐興業です。
次にサイズ。東罐興業の本社に問い合わせたところ、オレンジストライプのサイズは全部で、220cc, 275, 360, 400, 480, 545, 660, 760の8種類あることがわかりました。番組で使っていたのは、おそらく360, 400, 480のどれかです。(480が最有力)
なお、サイズによって紙の厚さに違いがあるのか聞いたところ、製造時に厚さを測っているわけではないので正確なところは不明であるものの、強度を保つために紙繊維の密度はサイズが大きくなるにつれて増やすようにしているとのことでした。つまりサイズが大きいほど透けづらい可能性があります。
メーカーとサイズの目星がついたところで、次は現物の入手です。担当者の方によれば、オレンジストライプは一般向けではなく業務用の製品なので、売っているとしても1000個以上からの大量注文が大半との話。しかし、稀に少数でも売っているところがあり、そのひとつに合羽橋の本間商店があるというので、早速買いに行ってきました。
行ったのは昨日ですが、確かに売っています(50~100個入りで400円前後)。ちょうど目当てのサイズも在庫があったので、360, 400, 480を購入しました。
さて、素材が揃ったところでようやく検証開始です。使う紙コップは番組と同じメーカのもの。写真は480ccサイズ。
この紙コップの底に出演者と同じマークを描きます。
そして何も描いてない紙コップをその上に重ねます。
番組では、この状態では「何も見えない」と言って、実際に重ねた状態を見せていました。確かにマークは全然見えません。しかし今回の検証の目的は、マークがはっきりと透けて見えるかどうかではなくて、底の色に違いが出るかどうかです。
それで、実際にマークを描いた紙コップの上に無印の紙コップを被せ、他は上下とも無印の紙コップを並べたものが下の写真です。5個のうち、1個だけマーク(4重丸)が描かれています。マーク自体は透けて見えませんね。
でも予想通り、実際に重ねたものを比較してみると、わずかに色の違いがあることがわかりました。マークが下に描かれている紙コップは、他と比べてわずかに暗いんです。
これは肉眼だと注意して見ればその違いがわかるのですが、写真だとよくわからないみたいなので、当たりがどこにあるかお知らせしますと3つ並んでいる下段の中央です。
番組では、この5個の中から1個を当てる透視を、カーネリアンの畑が8回連続、小林アナが9回連続で当てていました。そこで私も友人に協力してもらって、番組と同じく正解がどこにあるかわからないようにシャッフルしてもらい、5個の中からハズレだと思うものから順に除外していって、最後に1個を選ぶという方法でやってみました。
手がかりは底の色のわずかな違いです。 (油性ペンの臭いはあまりしなかったので、臭いは手がかりにしませんでした)
結果は10回連続で成功。検証の際には、念のため1回当てるごとに被せていた紙コップを他のものと代えていたのですが、それでもまったくハズレません。今のところ成功率100%です。
そのようなわけで、超能力以外の手がかりを使っても番組と同じように当てられることがわかりました。おそらく番組の途中から飛躍的に成功率が上がったのも、出演者が何度も練習しているうちに、このわずかな違いがあることに気づいたからではないかと思います。
いつも興味深く読ませていただいております。今回の件ですが、僕もマークが大きいなと思ってみていました。誰かの「小さな点みたいなものでも正解だった。」なんてコメントはあったと思いますが、それでやるべきでしょうね。売れないお笑い芸人のためのショーだったのでしょう。昨日ぴったんこカンカンで、リオ・スシャール氏が出てましたが、先日検証された「お茶の水博士」と同じ事をやってました。わざわざ観客から「眼鏡」を借りて・・・。またパワーアップして出演されるそうです。楽しみです。
なぜ被せるのも紙コップなのか、かなり疑わしい条件でしたよね。他にも、なぜストライプ付きなのか?なぜ自分で印を書くのか?甘すぎる条件なんでとても超能力には思えなかったです。なにせ手品とも言えないレベルですからね(それが信憑性を逆にあげる手段?)。が、実物で実験してみた方がいるとは思いませんでした。ご苦労様でした。これからも暴いていってください!
検証お疲れ様でした。全く同じコップ(!)での検証結果ということで、やっぱり!という感想です。
実際にやってみればすぐに透視ではない事に気づくはずなのに、なぜあのような放送になったのか考えると疑問に思う事ばかりです。
芸人たちは自分たちの透視を超能力として誤認しているのか?それとも全てわかって上で演じているのか?制作側は検証しなかったのか?(これは超能力ありき、だったようですね)等々…。いろいろと腑に落ちない透視実験だったと思います。
>not a second timeさん
>マークが大きいなと思ってみていました。
ですよね。単に透視するだけならばおっしゃるように点だけでもよかったと思います。
>昨日ぴったんこカンカンで、リオ・スシャール氏が出ていました
そういえば番宣で少し見ました。去年の後半から日本での活動を本格化したようなので、今年はテレビでよく見かけるかもしれません。
>hamolさん
>甘すぎる条件なんでとても超能力には思えなかったです。
確かに甘すぎます。そもそも透視を行なう者がターゲットに触れて自分でマークを描くなんてことは、普通の実験では絶対に避けるべきことですからね。
>佐藤さん
芸人さんがどこまで気づいて、どれくらい誤認しているのかはハッキリとわかりませんが、制作側が科学的な厳密さより肯定的な結論にこだわっていたのは確かだと思います。
検証お疲れ様です。画像でも正解のカップは青っぽいのが判ります。
番組を見てて、当たりはひとつしか無いのに500個もめくるとは随分無駄な作業をしていると思ってました。
確かに
ユリ・ゲラー初来日の際、すでにマジックであるとある有名手品師のご主人が指摘し、
ネタばれているにも関わらず、
そのユリのお墨付きでまた一儲けですか・・・
競演する芸人がだまされた振りをする演技はわざとらしくて見苦しいものですね
超能力? そんなものは在りません
自然界には 四つの力あって、強い力・電磁力・弱い力・重力
大きさもこの順番で、当然ながら「超能力」は四つの力以外であると定義されますよね。
もし在ったら、一例だけを研究して証明すればノーベル賞10個以上の価値があります。
そして、今のエネルギー問題はすべて解決し、地球温暖化は防げます。
紙コップをいくら透視しようが
スプーンを曲げようが
メガネをひっくり返そうが
お絵かきをしようが
昔の恋人を当てようが
真の学者は誰もリオや芸人を検証しようとはしません。
当然ですよね
初めまして、いつも記事を楽しく読ませていただいております。私は番組を見ておりませんが、超能力とやらとされてる透視の検証には、ただ頭が下がるばかりです。素晴らしいです。
しかし、昔から思うのですが、こういう超能力に見せてる手品は、はっきり言って何の役にもたたないものがほとんどですよね。
・紙コップ透視→普通に見ろ!
・スプーン曲げ→元に戻らなかったらゴミが増えるだけじゃん!
・○○(近くにあるもの)を透視→紙コップ同様、普通に見ればいいじゃん!
などなど。個人的にはセロという人の方が、よっぽど超能力者っぽいですね。
エントリーとは違うことで、もうしわけありませんが、こんなニュースを見つけたので貼っておきます。もうご存じでしょうが・・・。
http://news.ameba.jp/myspiritual/2010/01/54206.html
あの予知能力者ジュセリーノ氏が今度は韓国でブームに!?
この人も懲りないですね。この記事でいらっときた文が一つ。
>しかし、逆にいえば、起こるはずといわれていた地震などは当たっていなくてよかった! ともいえるので、微妙なところ。
これを付け加えれば、外れた予言への免罪符にでもなるのでしょうか?詐欺師を擁護している卑劣な発言にしか私は見えません。この記事を書いた人はジュセリーノ信者なのでしょうかね。
<観測結果の選り好み>を使ってまで、アメーバニュースは記事を書くのが好きなんでしょう。
>のりたまさん
>画像でも正解のカップは青っぽいのが判ります。
おお、青っぽく見えましたか。記事では暗めと書きましたが、肉眼では若干青みがかって見えます。
>JIROさん
>超能力? そんなものは在りません
おそらくここは私個人も含めたASIOSとは、スタンスが違うところだと思います。そもそも、「そんなものは無い」と確信していたらわざわざ手間のかかる検証はしないわけで・・・・・・。
>真の学者は誰もリオや芸人を検証しようとはしません。当然ですよね
日本では「当然」のように思われているのですが、海外では別に当然ではなくて、学者でも真面目に検証している人は何人もいます。
アメリカの懐疑団体CSIが30年以上の実績があるのに対し、日本の学者中心のJapan Skepticsがほとんど活動実績がないのも、このあたりの意識の差が表れているように思います。
>Bartlettさん
はじめまして。
>こういう超能力に見せてる手品は、はっきり言って何の役にもたたないものがほとんどですよね。
手品でいうところのクロースアップ系の超能力は直接的にはあまり役立ちそうなものは少ないように思いますね。
>こんなニュースを見つけたので貼っておきます。もうご存じでしょうが・・・。
いえ、知らなかったです。お知らせくださいましてありがとうございます。
今度は韓国ですか。日本ではもう予言が当たらないことが知られてきているので、国を変えて活動するつもりなんでしょうか。
ちなみにジュセリーノは日本語版サイトを昨年リニューアルし、日本では講演会を中心に活動を続けるつもりのようです。
>この記事を書いた人はジュセリーノ信者なのでしょうかね。
記事を書く場合、上の方針に沿わなければならない場合もあるので、記事を書いた本人が書いてある内容を信じているかどうかは微妙かもしれません。
私の知り合いにも、仕事として肯定的な内容に関わったけれど、本人のスタンスは懐疑的という人が何人かいます。
はじめまして。今までもこのブログに何度かコメントを書き込もうと考えましたが、なんとなく敷居が高そう(厳密にはこの言葉の意味は違いますが、「日本語の乱れ」ではなく、「進化」だと思ってあえて使ってます。余談長くてすみません。)だと思ったので最終的にはいつも書き込むのを躊躇ってました。
私は約1年前までは基本UMA以外のオカルト分野は全て信じていました。
懐疑的な思考を知ってからは、この「超能力スペシャル2010」の様なオカルトを扱う番組を見たら飛びつくように見るようにしています。そういう意味では、ビリーバーの頃よりもオカルトにのめり込んでいるかも知れません。(笑)
今回の紙コップの実験も、自分がテレビで見た時はトリックがわからなかったのですが、実際にやってみるとこんなに単純なことだったとは!家庭環境上番組の録画はしづらいので、いつもこうやってASIOSさんでの検証を見ることに頼ってます。(汗)
Japan Skepticsが事実上の否定団体のようになっている以上、本城さん達のような正しい懐疑精神を持つことは日本では貴重だと思います。
拙い文章ですみません。
(山本弘さん著の『超能力番組を10倍楽しむ方法』のあとがきに書かれている「ウィザードさん」が本城さんのことだと最近まで知りませんでした。mixiには入ってないということもありますが(たぶん関係ない)、お恥ずかしい限りです。)
>アクシェルさん
はじめまして。
コメントありがとうございました。
>懐疑的な思考を知ってからは、この「超能力スペシャル2010」の様なオカルトを扱う番組を見たら飛びつくように見るようにしています。
それは大事なことですね。
調べるためには、まず興味を持つことが必要で、それがないと話が始まりませんから。懐疑的な思考というのは、知的好奇心とセットになってこそ真価を発揮するものだと思っています。
>そういう意味では、ビリーバーの頃よりもオカルトにのめり込んでいるかも知れません。
良い傾向だと思います。私も同じような感じです。興味、時間、手間、お金、どれを取ってもビリーバーだった頃より多くかかっています。
>家庭環境上番組の録画はしづらいので、いつもこうやってASIOSさんでの検証を見ることに頼ってます。(汗)
録画がしづらい環境であるなら仕方ないところですね。検証結果を記事にする際には、そういった録画できなかった方にもわかりやすく伝えられるようにしたいと思います。
>山本弘さん著の『超能力番組を10倍楽しむ方法』のあとがきに書かれている「ウィザードさん」が本城さんのことだと最近まで知りませんでした。
プロフィール以外で2つの名前が同一人物であるとは説明していないので気づかなくても仕方ないです。気にしないでくださいね。
コップの超能力について、僕も実際に収録を見に行ったのですが、舞台上でマリエさんがコップをみながら怪しそうな変な顔をずーとしていました。そのトリックに気づいたのでしょうか?私もやってみると言いだし、見事に当ててしまいました。しかし、その直後気まずい雰囲気になってしまい、「空気読めよ~」といったヤジも飛び、その後でアントニオ猪木が失敗して、その場は丸く収まりました。OA上ではマリエさんのシーンはすべてカットされており、本人はどう思われたのでしょうか。
この番組見ました。売れない芸人が30人ぐらい出ていた。当てた人だけご飯が食べられる。 あの有名な秋山さんも合宿に参加してた。
10回連続で当てるなんて、絶対おかしいと思ってました。 ものすごい低い確率だ。
秋山さんは超能力の先生(立会人)として参加してた。 紙コップだからこそできた超能力だったんですねw。この番組で中国テレパシー姉妹がでてた。姉がスタジオにいて、妹がスーパーで姉の思い浮かべた食べ物を、買ってくるのも、スタッフが教えていたか、携帯電話かな
>KYONTAROさん
貴重な情報ありがとうございます。
マリエは気づいたのかもしれませんね。しかし放送でカットされてしまったとは。こういったことは実際に現場にいた方でないとわからない情報ですから参考になります。
>QQQさん
別の所でも書いたのですが、王姉妹は18年前に日テレの番組でイカサマの現場を暴露されたことがありまして、そのときは通訳と知人がイカサマの協力者でしたね。
コメントありがとうございます。
実はもう一つ、実際に使われてものと同じコップがいすの下に置いてあったのですが、全員にではなく数がものすごく少なくて、僕自身も手にして見ることはできませんでした。
観客も普通に申し込んで観覧していたお客さんと他にエキストラで呼ばれていた人たちも多数いました。いわゆる素人さんの観客はアリーナ席のみで、2階席3階席はすべてエキストラの方々だったと思います。受付が違っていたので間違えないです。そうするとテレパシーや透視もエキストラの皆さんに答えを教えることも可能ですよね。疑ってかかればきりがないですが。所詮は新春のお祭り番組なのではないでしょうか。夕食も出ると言われていたのに、飲み物すら出ませんでしたから。T
>KYONTAROさん
またまた貴重な情報ありがとうございます。観客の中にはエキストラも混じっていたんですね。それだと、おそらくエキストラに答えを教えてしまうと数が多い分、やらせがバレるリスクも高いですから、たとえば一桁の数字を当てるやつでは、事前にちょっとしたアンケートなどで好みの数字などがわかるようなことをさりげなく聞いていたのではないかと思います。これなら事前にどんな数字が選ばれやすいかわかりますから、あとは簡単ですね。
この紙コップ透視、遠くからでもできますか?2メートルくらい離れたところだったり、あるいは、50メートル先に置いて、それを双眼鏡で見たりしても透けて見えるんですかね??
>ボイスさん
2メートル離れたところから識別できるか試したところ、できませんでした。50メートル先に置いて双眼鏡で見るのも、双眼鏡を持ってないので試せてませんが、たぶん無理だと思います。
たぶん、訓練すればできるようになります。私、できました。
それは凄いですね。
2メートル離れたやつは数回しか試しませんでしたが、何度も練習すればできるのかもしれません。
これじゃない紙コップでやったら全く見分けが付きませんでした。
この紙コップじゃないと無理ですかね?
紙コップは様々な種類があるので、これ以外にもできるものはあると思います。時間はかかると思いますが、入手可能なものを少しずつ試していってはどうでしょうか。
今日のテレ東の「ジャンバン」という番組でカーネリアンの畑さんがこの紙コップの透視をやっていました。(当時の出演者?)
最近、他の番組でも芸人さんがこの紙コップの透視をやっているのを見ましたが・・・。
>いっちゃんさん
情報ありがとうございます。畑さんは当時の出演者で、一番的中率が高かった方です。
まだやっていることに少し驚きましたが、他にもやっている方がいるようでしたら、またどこかで見られるかもしれません。チェックしておきたいと思います。
昨日、これの検証番組やってましたね。
結果はずばり重ねて透けた底の色のわずかな違いで、畑さんは他の人より視力がよかったから的中率がよかったそうです。
本城さんみごと正解ですね。
>摩耶山さん
昨日の番組でこの透視を扱っていたのですね。録画はしてあるので、あとで確認してみます。