未来予測の検証
本城です。
先日「ビートたけしの超常現象 Xファイル」を紹介しました。今回はその番組で放送されたリオー・スシャールのパフォーマンスの中にて、具体的に検証可能なものがあったのでそのことについて書きたいと思います。
まず私が検証の対象としたのは、リオーの「未来予測」というものです。これは新聞紙を使った予言の一種で、手順を大まかに説明すると次のようになります。
- 100部以上の様々な新聞を番組が用意し、番組アシスタントの江口ともみにその新聞の山に手を置いてもらう。
- リオーが江口ともみの目を見て、ある単語を読み取り、紙に書いて封筒に入れる。
- 封筒はテープで封をしたあと、たけしと大槻教授にサインしてもらう。
- 封筒は大槻教授に渡す。
- 山のように積まれた様々な新聞の中から、大槻教授に好きな新聞を選んでもらう。
- 選ばれた新聞を江口ともみに渡し、その中から見開きページを自由に選んでもらう。
- 選ばれた見開きページのうち、右か左か好きなページを選んでもらう。
- 江口ともみは左のページを選ぶ。
- リオーが新聞を受取り、右側ページがカメラの方、
- 左側ページがリオーの方に向くように2つ折りにする。
- 江口ともみに新聞を渡し、リオーも左手で新聞を持つ。
- リオーの指を伸ばした右手を江口ともみに握らせ、その指を使って好きな単語を選んでもらう。
- 選ばれた単語をホワイトボードに書いてもらう。選ばれた単語は「ホテル」。
- 大槻教授が1で予言された封筒を開ける。
- 封筒の中の紙には「ホテル」と書いてある。 (「ホテル」という単語は2番のときの筆の動きを見ると、「ホテ」という字までは確かに書いている。その後はカット)
以上です。リオーからすれば、途中で何度も出演者が自由意志で選ぶ手順が含まれているにもかかわらず、選ばれる単語を予言できたのだから超能力だと主張したいようです。
しかし放送内容をよく見るとわかるのですが、紙面にあるはずの「ホテル」という単語は一度もカメラに映りませんでした。そればかりか、江口ともみが選んだ左側のページ自体が一度もカメラに映りませんでした。
これは明らかに不自然です。そこで私は、番組で選ばれた新聞に「ホテル」という字が本当に記載されているのか検証することにしました。幸い、番組では選ばれた新聞の一面が映っています。そこから確認してわかるのは、選ばれた新聞が2010年10月10日付けの『朝日新聞』だということです。
次に、上記9番以降の手順にて、江口ともみが選ばなかった見開きの右側のページが確認できます。その映像をもとに10月10日の朝日新聞を確認していくと、26面に同じ構成の紙面が見つかりました。番組と同じく見開きの右側にあるページです。ということは対になる左側のページが、番組で選ばれたページになります。
ただしここで注意が必要です。朝日新聞では同じ日付けでも地方によって内容が異なります。具体的には東京、大阪、西部、名古屋、北海道と5つに分かれます。私が朝日新聞に問い合わせて調べてもらった結果によれば、10月10日付けの26面の記事のうち、番組と同じ紙面構成だったのは東京本社によるものだけでした。(版の違いも含めて)
つまりそこから最終的にわかるのは、番組で選ばれたのが2010年10月10日付け東京版『朝日新聞』の13版、第27面だということです。果たしてこのページに「ホテル」という単語は記載されているのでしょうか?
早速、該当の紙面を検証してみた結果は……
載っていませんでした。どこにも「ホテル」という単語はありません。つまり、このパフォーマンスでリオーは予言していたわけではなかったということです。
では、載っていない単語をどうやって江口ともみに言わせたのでしょうか? 考えられる方法は2つあります。ひとつはサクラ。しかし、もしサクラであれば9番の手順は明らかに不要でしょう。リオーの指を使って選ばせる必要はないです。リオーが関わらないもっとシンプルな手順ができるはずです。したがってサクラの可能性は低いと考えます。
私としてはもうひとつの方法として、リオーがどこかの場面(※)であらかじめ用意していた別の紙面を密かに出し、27面に重ねたのではないかと考えました。当然、その紙面には「ホテル」という単語が記載されているはずです。場所もわかっているでしょうから、自分の指を握らせてマジックでいうフォース(自由に選ばせているようにみせて実は強制的に選ばせるテクニック)の要領で「ホテル」という単語を選ばせたのではないでしょうか。
※可能性がありそうなのは6番の場面。リオーが「ウェイ、ウェイ!」(待って、待って!」と言いながら江口ともみの作業を止めており、そのあとのシーンは少しカットされている。
ただ残念ながら、一連のパフォーマンスでは途中の映像が何度かカットされているため、上記の方法を行ったとハッキリわかるような場面はありません。あくまでも推論です。他の方法もあるかもしれません。しかし番組で選ばれた2010年10月10日付け東京版『朝日新聞』の27面には、予言された「ホテル」という単語がないことは確かです。
いや、すばらしいっす
これぞ検証という感じっす
この調子でウソを暴きまくって、本物をみつけてほしいと思います。
まぁ超能力と言うにはどれもお粗末でしたね。
最初の釘曲げ(戻し?)なぜ手で覆い隠すんでしょう?
数字当ても4×4マスの派手なパフォーマンスは何のためでしょうねぇ?
それと例の「ホテル」が日本語は分からないと言いつつ縦書きなのが気に入らない。
あの通訳も怪し過ぎるし…(笑)
これからも検証お願いします。
>魔青年さん
ありがとうございます。
これからもこの調子でやっていきます。
>たぁさん
超能力とするには不要と思われる動作や手順が多かったですね。
本当に素晴らしいです!
番組ではあやしい部分も多かったので本城さん検証を楽しみにしていました。
これからも楽しみにしています。
頑張って下さい
予言を書いた本人が文字を選ぶときに指差している時点でなんだかなー状態でしたが。
>しーらかんすさん
ありがとうございます。
これからも検証を続けていきますのでよろしくお願いします。
>さんちゃんさん
やはりあそこで本人が指差しをやったら残念な感じですね。
いつも興味深く拝見してます。
検証ありがとうございます。
元々この番組は肯定派、否定派に分かれて
議論する企画ですので、こうした検証は
番組内でやって欲しいと思います。
魔方陣の件も優木まおみが「64」を選んだのは、ヤラせだと思っていますが、これは本人が暴露しない限り検証できませんね。
相手が思った数字がわかるのなら魔方陣はいりません。
>真之介さん
番組で検証をやってくれたらいいですね。ただ否定派というのはこういった手間のかかる検証をあまりやらないので難しそうです。
魔方陣の件は対象者を選ぶところからもっとランダムにやってほしかったと思います。
結局は「エンターテナー」の後継者でしたね。
やはり「~ではない」の証明は時間と手間がかかるものですね。テレビも映像を編集する人の意図によって真実とは違うものを映すものと再認識させられます。
お疲れ様です。
>人工天然者さん
テレビは編集されると事実とは違う見せ方もできますね。またカットされてしまうと検証できなくなることもあるので困ったものです。
本城さんのHPでリオースシャールの超能力に見せかけたマジックというのを何度も読んでいたにも関わらず、この演目だけはテレビを見る限り全くトリックがわかりませんでした。
新聞の検証をして下さってありがとうございます。とてもスッキリしました!
これからもがんばって下さい。
>りほさん
スッキリしていただけたなら幸いです。
今後も機会があれば検証していきますのでよろしくお願いします。