ビートたけしの超常現象(秘)Xファイル(追記あり)
※三四郎・小宮さんに対するパフォーマンスについて追記しました。
本城です。
昨日、毎年恒例となっている「ビートたけしの超常現象(秘)Xファイル」が放送されました。内容は、明らかにCGだとわかる映像(たとえばバルバドスの狼男では影が逆になっている)がたくさん使われるなど、例年通りのものでした。
超能力ものも例年通りで、もはやマジックを超能力と言い張って放送するのは、この番組くらいだと思います。大槻(名誉)教授も相変わらずでした。名誉教授を返上云々という話もされていましたが、未見の方はこちらの記事でもご参照ください。
ここでは、「脳を読む男」といわれるティモン・クロースが大槻教授(以下も教授で通します)に対して行ったパフォーマンスについて書いておきたいと思います。
無駄ばかりの手順
ティモンは大槻教授からの突然の挑戦を受け、教授のiPadに設定されているパスワードを解除することになりました。さて、ここで普通に考えてください。もし「脳を読む」ことができるなら、やることは何でしょうか。
最もシンプルかつ疑われない手順は、その場で脳を読み取って、パスワードを解除してみせることです。しかしティモンはこのような単純明快な手順は取りませんでした。代わりに彼が取った手順は、実に無駄が多く、矛盾したものでした。
まず、ティモンはパスワードを紙に書くよう大槻教授にお願いします。その際、ティモンは自分が用意したメモ用紙を使わせようとしますが、大槻教授は自分が持っているものを使うと言って断固拒否。教授からすれば、相手の道具を使わなければ大丈夫だと思ったのでしょう。
ですが、そもそも「紙にパスワードを書く」という手順自体がまったく必要ないものです。結局、この紙は最後に視聴者に見せて答合わせをすることもなく終わりました。何のために書かせたのでしょうか?
その後もおかしな手順は続きます。ティモンはパスワードが書かれた紙を、大槻教授の隣に立たせたボビーに手渡すように指示しました。その理由は「(大槻教授が)手ぶらでないといけないので」というものでした。これはまったく意味不明です。
さらに今度はボビーに渡した紙を、なぜかティモンが受け取ってしまいます。ここでは編集が入っているため、なぜティモンが受け取る必要があるのか、理由すらわかりません。
そして次の場面では、また編集が入り、今度はなぜかティモンが紙を2つ持っています。
2つのうちの1枚はテーブルの上に置きました。もう1枚は、とくに隠すわけでもなく、ティモンが持ったままです。この紙が何なのか、編集が入っているため、視聴者にはまったくわかりません。なお、テーブルに置かれた紙は大槻教授が回収させられて持っていました。最初に言っていた「手ぶらでないといけない」は何だったんでしょうか。
ティモンは、この後、パスワードの解除に成功しました。ですが、これまで見てきておわかりのように、手順は疑問だらけです。なぜ紙に書かせたのか? なぜティモンが紙を受け取ったのか?? なぜ手元に紙が残るのか???
これで「脳を読みとる」と言われましても、説得力はありません。大槻教授は過去にも、リオー・スシャールと対決した際、見事に手玉に取られたことがありました。それで今回も同じような失敗を繰り返しているのですから、もはやいいカモだと思います。
ちなみに番組の最後に放送されていたノストラダムスの予言に関してましては、「ノストラダムスの大事典」の山津寿丸さんが番組内容について解説されています。ご興味のある方は、そちらもご参考になさって下さい。
【12月30日追記】
海江田さんからコメント欄にて、三四郎・小宮さんに対してティモンが使ったと考えられるトリックをご教示いただきました。私も確認できましたので、参考のため、ここに画像つきで追記しておきます。
まずティモンは自分が用意した厚手の紙を小宮さんに渡す際、書く位置を右手で指示しました(おそらく紙の右下です)。けれども視聴者に対しては、そういった説明はされませんでした。
次に小宮さんが隠れて暗証番号を書こうとするシーンです。ここではセットの壁に紙を置いたところで指の隙間から紙の中身が一部見えます。このとき、小宮さんはまだ何も書いていませんでした。ところが、紙には四分割するような十字の線と、何かの文字が書かれていることが確認できます。
おそらく前の指示と合わせると、四分割されたスペースのうち、何も書かれていないのは右下で、そこに暗証番号が書かれるようになっていたのだと考えられます。
それでは、なぜ四分割にして、書く位置まで指示する必要があったのでしょうか。ティモンが用意した紙は、透けないようにという理由で厚手ものでした。厚手の紙は四つ折りにしても隙間ができやすく、隙間が作りやすくもあります。その隙間から暗証番号を盗み見たのではないか、というのがこのトリックです。
具体的には、以下のシーンです。ティモンの右手にある紙には大きな隙間が出来ています。ティモンの視線を見ると、彼はその隙間を覗いていることがわかります。暗証番号を盗み見たのは、おそらくこのシーン。
ティモンはおそらく以下のように親指を紙に入れて、隙間を広げています。
ちなみに、ティモンは小宮さんの暗証番号(最初がアルファベット、残りは5桁の数字)のうち、アルファベットは当てられずに本人に聞いていました。
ティモンが先述の方法で暗証番号を見ていた場合、最初のアルファベットは書かれている位置が端になりますから、隙間から覗く際、一番見えにくくなります。彼がアルファベットを当てられなかった理由が、おそらくこれだと思います。
あれはひどかったですね。
ひどかったです。
何故紙に書かせたのかの理由は、超能力者は次のように説明できる。
頭に想い描くだけでは、自分の本当の暗証番号を思い
描かないいじわるな人がいる可能性もあるからです。
紙に書かせれば、それが嘘だった場合に嘘を書いたと
ばれる恐れがあるから、万一のことを考えて本当の
暗証番号を書く可能性が高くなる。また、書くことで
そのイメージが脳に強く描かれるからだ。
紙を机の上に置いた後、ティモンの手に何故別の紙が残ったか
というのは皆が疑問に思うところで、あの紙は大槻教授
が書く前にティモンが渡そうとしていた厚手の紙ということ
も考えられるが、視聴者にはそのいきさつが分からないように
なっています。
以上を考慮してもう一度、このトリックについて考察しては
どうですか?
その超能力者の説明は説明になっていないと思います。
>自分の本当の暗証番号を思い
>描かないいじわるな人がいる
その「いじわるな人」が、紙に書いた後、無駄な手順を踏んでいるせいで無駄に時間が過ぎたにもかかわらず、その後、正しい暗証番号を思い描いてくれるとしたら、それは親切な人だと思います。
また、イメージさせることが大事なのだとしたら、紙に書かせた後、他者に渡させる必要はまったくなく、本人にずっと持たせているはずです。
>あの紙は大槻教授
>が書く前にティモンが渡そうとしていた厚手の紙ということ
>も考えられるが
ティモンはボビーから紙を手渡される際、両手に何も持っていませんでした。
>その「いじわるな人」が、紙に書いた後、無駄な手順を踏んでいる
>せいで無駄に時間が過ぎたにもかかわらず、その後、正しい暗証番号
>を思い描いてくれるとしたら、それは親切な人だと思います。
超能力者の主張
書くときには番号を脳の長期記憶領域から呼び出します。
これが強いイメージとなって、脳の短期記憶領域に入ります。
紙に書いた後、それを他人に渡せば、それを書いた人は、それが
見られはしないかと心配して、その紙に意識を集中し、脳の活動は
激しくなります。このときの脳の活動は、一旦思い出して脳の短期
記憶領域にコピーされた暗証番号と結びついています。
(例えば、ある音楽を聞いて、昔の思い出が蘇るようなもの)
この脳の活動が波動となって私の脳に鮮明な暗証番号とともに伝わるのです。
>>あの紙は大槻教授
>>が書く前にティモンが渡そうとしていた厚手の紙ということ
>>も考えられるが
>ティモンはボビーから紙を手渡される際、両手に何も持っていませんでした。
ボビーから手渡された後、それを右手に持って机の上に置くときの右手の
中を見てください。紙のように見えるものが手を移動させている間もずっと
手の中にあるように見えますが、これは何かが反射しているだけかな?
机に置いた直後は明らかに手に持っています。
いずれにせよ、この辺りの事情は視聴者には分からない。
超能力者の指図が不自然だというだけでは弱いと思います。
あの状況で考えられるトリックを考えてみてください。
>他人に渡せば、それを書いた人は、それが
>見られはしないかと心配してその紙に意識を集中し、脳の活動は
>激しくなります。
大槻教授がそんなに心配していたとする根拠や、脳の活動が激しくなるほど紙に集中していたとする根拠が不明です。本当にそれほどの心配をするなら、そもそも紙を渡すような愚かなことはしません。
>(前略)この脳の活動が波動となって私の脳に鮮明な暗証番号とともに伝わるのです。
その一連のご説明と、三四郎さんも含めた手を合わせて数字を言っていくパフォーマンスやその際の説明とが全然合っていないです。もちろん再度何らかのご説明を加えることは可能でしょうが、そういった後付けのご説明にお付き合いしていくつもりはありません。
>ボビーから手渡された後、それを右手に持って机の上に置くときの右手の
>中を見てください。
そのシーンは画像も示していますからよくわかっています。私が前のコメントで書いたのは、「ティモンがボビーから紙を手渡される際」の話でした。
つまり、仮に問題の紙がティモンのものだとした場合、大槻教授から散々疑われた自身の道具を、一度手ぶらにした後にまた使ったということになるわけです。
もし透けないようにということであれば、大槻教授の手帳にある他の紙を何枚も使って包めばいいですし、ティモンがそこまでして自身の道具を使うことにこだわるのであれば、当然、今度はその道具も疑わしいということになります。ただし途中が何度かカットされていますから、リオー・スシャールのときのように、具体的なことまでは明らかにできません。
>大槻教授がそんなに心配していたとする根拠や、脳の活動が激しく
>なるほど紙に集中していたとする根拠が不明です。本当にそれほど
>の心配をするなら、そもそも紙を渡すような愚かなことはしません。
超能力者(ティモン)
人間というものは、あとで心配になるようなことをやってしまうこと
がよくあります。案の定、教授は紙を渡した後、ちょっとした隙に
盗み見られるのではないかと紙に注意を向けていました。もちろん
教授が他人に紙を渡したりしたくないのは分っていますが、撮影中
でもありますし、指図に従わないと、パフォーマンスがスムーズに
進行しませんので仕方なく、私の言うとおりにしてくれました。
これは想定内のことです。しかし、その後も続けて色々言ってると
さすがにぶち切れて「ディスカッションはいいから、もう私のパスワー
ド開けて! 書いたんだから! 」と不満をぶちまけました。
このとき教授の脳は興奮して最高潮に達したようです。
教授のようなタイプの人は脳にバリヤーがかかっていますから色々と
手がかかるのです。
>その一連のご説明と、三四郎さんも含めた手を合わせて数字を言って
>いくパフォーマンスやその際の説明とが全然合っていないです。
超能力者
やはり、そうお考えでしたか。流石です。実は手を合わせてやるあの
パフォーマンスはショーなんです。その前に既に暗証番号は分っていた
のですが、単にそれを言うよりあのようなことをした方が受けるのです。
これは、ここだけの話ですが・・・。
>もちろん再度何らかのご説明を加えることは可能でしょうが、そうい
>った後付けのご説明にお付き合いしていくつもりはありません。
ごもっともです。ここが不自然、あれは無駄だと言うだけでは柳に風の
ごとく受け流されるだけです。あの状況ではこのようなトリックが考え
られるといったようなことでないと、このようなサイトにはふさわしく
ない。
>>ボビーから手渡された後、それを右手に持って机の上に置くときの右手の
>>中を見てください。
>そのシーンは画像も示していますからよくわかっています。私が前のコメント
>で書いたのは、「ティモンがボビーから紙を手渡される際」の話でした。
ボビーがティモンの左手の上に紙を載せ、それをティモンが右手でつまんだ
ときもう1枚の紙が手の中に隠してあるように見えます。手渡される前は確
かに持っていないみたいです。
>もし透けないようにということであれば、大槻教授の手帳にある他の紙を
>何枚も使って包めばいいですし、ティモンがそこまでして自身の道具を使
>うことにこだわるのであれば、当然、今度はその道具も疑わしいというこ
>とになります。
>ただし途中が何度かカットされていますから、リオー・スシャールのとき
>のように、具体的なことまでは明らかにできません。
超能力という時点で、既に道具云々の何倍も疑わしい。(笑)
カットされている部分に怪しいことがなかったとしても、あの状況下で
可能なトリックはあると思います。
そもそも「超能力者ならシンプルに脳内を読み取りなさいよ」が観てた人の感想だと思うのですが、それをできてない時点で私はティモン氏が超能力者じゃないと思ってしまいますよ
あの放送は、ヤバイと思います。
あれでは、超能力が証明されたかのような印象をもたれます。
あのシーンを何度も見た後の考え方は、本庄さんとほぼ同じになってしまいました。
ティモンは、マジシャンとしても、レベルは低いと思います。
読み取る対象となっている紙を手に取ってしまいました。しかも、長時間・・
レベルの高いマジシャンならば、書いた紙を箱に入れて鍵をかけるとかしますが・・
大槻教授のシーンは、カット割りが多くて、紙の流れがわかりにくいです。
ティモンは、自分の紙を教授に渡そうとしたが、拒否されたので、手の込んだことをしたようです。
想定外の出来事に対する、対応力は評価できますが、テレビの編集により救われました。
よって、教授へのトリックの証明は難しいですが、小宮さんへのトリックは、ほぼわかりました。
実証する自信はあります。
ポイントは、透けて見えない紙です。
透けて見えない・・ つまり、厚ての紙ということです。
小宮さんが、パスワードを書き込むシーンを確認して下さい。
(大竹まことさんが「レンガの裏とか行けよ」というシーン)
ティモンから渡された紙は、白紙ではなく、4分割されていて、3カ所は既に書かれています。その為、右下にパスを書き込むことになります。
そして、その紙を四つ折りにします。
すると、折っても見えます。なぜならば、厚ての紙なので、隙間ができるからです。
ティモンが紙をのぞき込むシーンがあります。
ティモンが「その暗証番号を渡すのに信頼できない友人はいますか?」というシーンです。
奇妙な質問で、皆が混乱する隙を狙ったのでしょうが、テレビにはっきり映し出されています。
小宮さんのシーンでは、カット割りは少なく、紙の流れは明確です。
しかし、教授のシーンは、カット割りが多すぎるし、肝心の場面がカットされているので、検証しようがありません。
今後、大きな問題になると思います。
ご教示ありがとうございます。参考になりました。私の方でも確認できましたので、画像付きで追記しておきました。
大槻教授も、「じゃあ、漢数字(できれば、壱とか弐の大字)でかうけいどいいよね、脳で認識する数字には変わりがないんだから」くらい言えばよかったのに。まあ、テレビ局の演出側が「それじゃあ困ります」位は言って、「次からはお願いしません」を付言するんだろうけど。
本城さん、
申し訳ありません。お名前の漢字を間違えてしましました。
追記の写真は、すごくわかりやすいです。
そして、
「ティモンは自分が用意した厚手の紙を小宮さんに渡す際、書く位置を右手で指示」
というシーンは気づきませんでした。
確かに、小宮さんの目線は、右下にあるように見えます。
それから、
「最初のアルファベットは書かれている位置が端になりますから、隙間から覗く際、一番見えにくくなります。彼がアルファベットを当てられなかった理由が、おそらくこれだと思います。」
私もそう思います。
最初がアルファベットではなく、数字だったら、「最初の数字だけ教えて下さい」と言うつもりだったかもしれません。
問題は、教授に対するトリックですが、何度見ても紙の動きがわかりません。
しかし、「手口」というものは、そう簡単に変えられるわけではなく、また、それほど高いレベルのマジシャンでもなさそうなので、やはり、教授のメモをのぞき見たと思います。
教授が、あの時の紙の流れを公開してくれれば、ヒントがわかると思うのですが・・