実在するか?「海から手」の心霊写真
本城です。
先日、私の個人サイトのアンケートで、「海から無数の手」が写っている心霊写真について書いてくださった方(以下、Aさん)がいました。
Aさんいわく、今から30年ほど前に深夜のオールナイトニッポンにて、松任谷由実さんが話されていたのを聞いて以来、ずっと気になっていた心霊写真だといいます。
Aさんは、もし実在するなら波の誤認かもしれないと考えておられるそうですが、ネットで検索しても写真は見つからないといいます。そのため今では話は創作されたもので、写真は実在しないかもしれないとも考えているそうです。
ただ確証はないため、もし何か情報を知っていたら取り上げてほしい、とのことでした。私はこの話を読んだとき、どこかで写真を見たことがあるような気がしていました。そこで手持ちの心霊写真を片っぱしから確認しました。ところが該当する写真は見つかりません。
次に検索もしてみましたが、これまた見つかりません。どうやら私が見たと思っていたのは勘違いだったようです。しかし写真は見つからなくとも、話はたくさんあることがわかりました。以下は代表的な「海から手」の心霊写真の話です。
海に飛び込みをしていた青年が溺死した。彼の遺族は、生前、飛び込みを行っていた姿を写した写真があったので現像してもらうべく写真屋に依頼。ところが最後に飛び込んだ一枚だけが現像されていなかった。
不審に思った遺族は写真屋に理由を尋ねた。すると写真屋は「うまく撮れてなかったんですよ」などと言う。それでも最後の写真は形見だ。遺族は失敗写真でもいいので出すように要求。しぶしぶ写真屋は問題の最後の一枚を出した。
ところがそこには崖から飛び込む青年と、その彼を引きずり込もうと海から伸びる無数の不気味な手が写っていた。
一度は見聞きしたことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。調べてみたところ、一柳廣孝『心霊写真は語る』、小池壮彦『心霊写真』、渡辺節子『ピアスの白い糸』などの文献で、この「海から手」の心霊写真の話について考察されていました。
文献によれば、この話は1970年代からある話で、実に様々なバージョンが語られているのだそうです。上記の話を基本バージョンとしながら、下記のように違う情報も織り交ぜつつ、友人、知人から聞いた話として流布されているようです。
【年代】
1970~90年代or言及なし
【場所】
茅ヶ崎or場所不明
【海に飛び込んだ人物】
男性or女性。
【飛び込んだ状況】
自殺or遊びで飛び込みをしていた
【撮影した人物】
友人or偶然現場に居合わせたカメラマン
【現像を依頼した人物】
遺族or偶然撮影したカメラマン
(警察に写真を提出したというバージョンもあり)
【海から伸びる手の描写】
手の色は、赤、黒、白、
女性が手を伸ばしている、無数の手が写っている、
海が血の色に染まっていた、などのバージョンあり。
通常、心霊写真というのは話と写真がセットです。ところが今回の「海から手」は肝心の写真がありません。
しかし話は怪談としてよく出来ています。「海に飛び込もうとする者を引きずり込む不気味な手」の描写は、実物の写真がなくとも頭の中で容易にイメージできます(私も見たことがあると勘違いしたように)。そのため、話が広まりやすかったのかもしれません。
とはいえ、やはりこの話の肝は写真屋さんもビビったという、海から手が伸びる心霊写真です。現状ではほぼ都市伝説といえる話で実在する可能性はかなり低いと思いますが、仮に元になるような写真が実在するなら怪談史を考察する上で貴重な発見になるとも思います。
そこで、ダメもとで写真を探しています。もし写真を見たことがあるという方がいらっしゃれば、ぜひ情報をお寄せ下さい。実見して検証してみたいと思っています。
【2013年12月4日追記】
「続・海から手の心霊写真」
まずはこちらの№168 http://up.occultic.net/occultpic/occbbs.cgi?page=3
それと、http://hb.jpn.org/hb14/2006/10/post_412.html
ただ、色々な検索ワードを試したり、東尋坊や足摺岬などの所謂自殺名所関連の写真を探したりしましたが、海から無数の手が出ているというような写真は今のところ見つかりませんでした。
かなり昔の心霊写真集で”見た記憶”はあるように思うのですが……
おまけ:http://livedoor.4.blogimg.jp/nwknews/imgs/f/1/f1ad2e09-s.jpg
追記ですが、画像検索で色々見ていると、様々な風景写真に混ざって、心霊写真はおろか水死体の写真や鳩山元首相の写真などがHITするので耐性が少ないかたは注意願います。
大抵の怪談話は体験談でしかないので確認しようがないですが、たしかにこの話では『心霊写真』があってもいいはずですね。
私も見たような気にはなっていたんですが・・・・。TV番組の再現映像かなにかだったのかな?
ところで実在する心霊写真(といわれるもの)って付随するエピソードってあまりないですよね?
「写真を撮ったら変なものが写っていた」で霊能者に見てもらうとか、その手の雑誌に投稿するとかで・・・。心霊写真はそれ単独で怖がるものですよね。
まあ、シミュラクラ現象ではエピソードなんてありようもないんだけど・・・。
>ゲッターさん
3枚目の写真はイメージに少し似ているかもしれません。
1987年のマイク・オールドフィールドのCDジャケットも少し似ていて不気味だったりします。
http://tubular.net/covers/large/Islands.jpg
>いっちゃんさん
まだ確認できていないのですが、「あなたの知らない世界」で再現映像が流れたという情報があり、もしかしたらその影響なのかもしれません。
心霊写真のエピソードにつきましては、被写体や撮影者に降りかかった不幸や、撮影現場にまつわる怪談(自殺者がいた、あとで調べてみると昔は墓場、病院、処刑場、事故物件だったなど)がまことしやかに語られるパターンがあるように思います。
全くお役に立てない情報です。
私は「海から無数の手」系の写真を見た気がします。
当方1967年生まれ。
おそらく1980年から1985年までの間で(つまり中学生から高校生まで)、「夏の心霊写真特集」みたいな本の中で見た記憶がある。
何かの台(ライフセーバーが座ってるような奴?)のようなところから、男性が海に飛び込もうとしていて、その海面から無数の手が出ていたようなそうでないような。
作られた記憶かも知れません。
ただ、そんな画像を見てぞっとした感覚だけは、このエントリを見て蘇ったぐらいには残っています。
デパートの本屋での立ち読みだったような、テレビ越しにその本を見たような。
30年前のことなんで誠に申し訳ない。
確か、3枚目の写真って、昆布ですよね。
>ぴぴさん
興味深いお話ありがとうございます。
80年~85年といいますと、ちょうどこの話が流行っていた頃ですので、どこかで取り上げられていたのかもしれません。その頃の心霊写真本も調べてみます。
>沖せんちょさん
まとめサイトなどで取り上げられていましたね。
もともとは海外のサイトにアップされた画像みたいです。
http://explainthisimage.com/unexplainable-photo/popular/22134-release-the-kraken
失礼します。
今年の5月頃に、知人から借りて聴いた○川淳二氏の怪談CD(コピー盤でした故にタイトル判らずで)の中にたまたまこの話がありました。
写真屋のオヤジさんがビビってなかなか写真を出してくれない処もまったくそのままでした。
正確な年代は判りかねます…申し訳ないです(-.-;)
>隠れさとさん
Wikipediaによると、「こわいから聞かないで」というCDに収録されているようです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%AA%E8%AB%87%E9%83%BD%E5%B8%82%E4%BC%9D%E8%AA%AC
おそらく6番の「最後のダイビング」かなと思います。
http://www.amazon.co.jp/dp/B00005FR19/
稲川淳二氏といえば、2004年の「真・恐怖夜話」というDVDに収録されている「死を語る写真」も上記の話です。写真それ自体にたどり着くのにはお役に立たない情報だと思いますが、念のためご参考まで。
http://www.amazon.co.jp/dp/B0002B5AOS
この怪談では、稲川氏が冒頭に「この話は語り継がれて古典になりつつあるが、残念ながら原型を失いつつある」(=自分が語るこの話が原型だ)と前置きして、「新宿の超高層ビルの地下1階にある、京都の高級料亭「下鴨茶寮」の支店を稲川氏が訪問した際、その店の若い店長から自身の体験談として聞かされた話」として、以下のようなバージョンを語っています。
【年代】
言及なし
(※作中、稲川氏がその話を聞いたのはいつなのか、またそのとき店長は何歳くらいだったのかなどは、まったく語られていない)
【場所】
琵琶湖(から流れる川?)の支流の岩場
(※店長は関西出身で、高校時代最後の夏の思い出作りとして、それまでそこに飛び込めなかった仲間の一人を飛び込ませた)
【海に飛び込んだ人物】
男性
【飛び込んだ状況】
遊びで飛び込みをしていた
【撮影した人物】
友人(※店長自身)
【現像を依頼した人物】
(店長と友人たち)
【海から伸びる手の描写】
女性が手を伸ばしている
稲川氏の怪談は話芸の娯楽としていろいろ聞きましたが、同じ話でも時期によりストーリーの細部の演出や大胆な場合にはオチまで変わっていたりします。なので、前置き部分や設定に独自のアレンジを加えていないという保証はなく、ある程度流布して以降の1バージョンと考えるのが妥当でしょうか。
いずれにしても写真にたどり着くのにはあまり参考にならなさそうで、すみません。
>西中島さん
ちょうど写真を探すことと平行して、流布されている怪談も集めて比べてみようと考えているところでしたので参考になります。ありがとうございました。
いろいろ調べてみたけど写真には迫れそうにないですね。
で、話で見つけたのは以下。
論文があるの?
http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/0970127.shtml
海外でも似たような話があるのか、それともたんなるバージョン違いか?
http://0j0j0j0j.4.tool.ms/423/
無関係?
http://karapaia.livedoor.biz/archives/52124201.html
>いっちゃんさん
下野民俗は研究会の会誌に紹介されている話みたいです。mixiの心霊写真解明コミュで同誌をお持ちの方がいて、記事を読むことができました。短かいですが、姉と弟の話になっていて1つのバージョンとして興味深いものでした。
海外の方は、おそらくバージョン違いだと思いますが、人物や場所の設定が海外になっているのは初めて見ました。参考になります。
洞窟の方は無関係ですがイメージは近いと思います。怪談を聞いてイメージするのはこんな感じだと思います。
琵琶湖から流れる川って、淀川(鴨川)しかないはずですが…。
稲川さんの怪談話の現場って、琵琶湖の伊崎不動じゃないでしょうか?
最近、関係ない人がスリルを楽しむために真似して事故死する事例が相次いで問題になっているとテレビで見た記憶が。
オカルト作家のYBさんに該当写真をお持ちでないか訊いてみましたが、持っていないとのこと。
それと、写真の存在についてではないですが、最初の投稿で貼ったロサンゼルスの海岸での海藻写真のように、元々は海藻を人の手と見間違えたことから伝承が発生した可能性もあるのではないかと考えています。
>沖せんちょさん
流出する川なら淀川(湖の南側)だけになりますが、伊崎不動(湖の東側)だと岩場ではあるものの淀川とは場所がずれてしまいますね。伊崎不動では竿の先から飛ぶようですが、もしここなら寺も交えた話をしそうな気もします。
http://www.chibaphoto.jp/saotobi/biwako.html
>ゲッターさん
写真は現役の方が持っていた場合、最近の本にも載せるはずだと思うので、もし持っている方がいた場合、現役では活動していない方か、亡くなっている方ではないかと考えています。
その点では今のところ第一候補は新倉イワオさんです。下記ブログにて「あなたの知らない世界」にて類似の写真を見たという情報があります。
http://sw-players.com/?p=11778
よく読むと無数の手の部分は似ているものの飛び込みの話はないので、探している写真とは違う可能性もありますが、手がかりにはなるかもしれません。新倉さんの本は、これから全部集めて確認してみるつもりです。
30年ほど前にTBSラジオの「ミステリーゾーン」という番組で「最後のダイビング」というタイトルで同じような話を聴いた記憶がありますが、写真は見たことがないですね・・・
>yuhiさん
この番組ですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9C%E3%81%AE%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%BC
80年代半ば頃も、この話がよく流通していたみたいですので、リスナーからの投稿としてラジオで取り上げられたのかもしれません。
みなさんよく調べていらっしゃる。
自分はたまたま聴いたっていうくらいで大して調べもできずに申し訳ありません。
興味深く読ませていただいてます(・-・*)
いつも楽しく拝見させて頂いております。写真の情報で無くて大変申し訳ないのですが、90年代の初めくらいに「本当にあった怖いはなし」に全く同じ話が読者からの体験談として漫画化されてたのを思い出しました。場所はサイパンだったような・・・。写真は見た事がありません。
>隠れさとさん
いえいえ、大変参考になりました。
>pさん
『ほんとにあった怖い話』については、他にも読んだことがあるという情報を寄せてくださった方がmixiでいます。そのときは5年以内の号ということで現在探しているところですが、90年代初めにも取り上げられたことがあったんですね。
場所がサイパンであれば珍しく、ぜひ確認してみたいと思います。
mixiのほうでお知らせしましたとおり、『ほんとにあった怖い話』で、「海から手」の漫画を読んだことがあります。
ただ、五年以内というのは、あやふやな記憶です(^^; もっと前だったかも知れません。
『ほんとにあった怖い話』は、毎年、夏になると、増刊号を出します。以前に掲載された作品で、人気のある作品が、再録されるのです。
ですから、だいぶ以前に載った作品でも、最近の増刊号に載ったものを読む、という可能性もあります。
あやふやな情報をお知らせしてしまい、申し訳ありません。
>弟切千隼さん
5年以内の目次を探した限りでは、2006年9月号か2009年5月号にそれっぽい作品がありました。しかし確認したところ内容は違っていました。もう少し前かもしれませんね。
おっしゃるように再録か、違うバージョンがそれぞれ掲載された可能性もあります。時間はかかりそうですが、見つかり次第、お知らせします。
今日ちょうどその話を聞いたので書きこみました。わたしの会社の先輩が学生時代(20年以上前)そのような写真を撮ったそうです
。
お盆中に友達と海へ行き岩場から海へ飛び込んで遊んでいた。で、その飛び込んでるとこを先輩が写真撮ったとのこと。現像したら1枚だけ危ないので渡せないと言われたが、無理いって見せてもらったところ海から無数の手(普通の手だけじゃなく変色した手も)が出ていて、写真を撮った先輩に向かって岩場に這いあがってきている男性が映っていたそうです。
それをテレビ番組に投稿し(放送された)そのままその番組でお祓いしてもらったと言ってました。
先輩の出身が北海道なので海も北海道かと。怖かったのであまり詳しく聞かなかったのですが…。その話とは別の写真かもしれませんが。
>うなさん
会社の先輩が当事者ですか!?
ということは写真とかネガとか残っていないですかね?
別の話だったとしても見てみたいです。
>うなさん
貴重な情報ありがとうございます。
より詳しい情報を聞いていただくことはできませんか?
たとえばこの話で北海道が出てくる場合、場所として多いのが立待岬(たちまちみさき)です。また写真を実際に撮ったという人に実物を見せてほしいとお願いすると、必ず断られるというパターンもあります。
今回、その先輩のお話が典型的な怪談のパターンに当てはまるのか、それとも違うのか大変興味があります。
もちろん、写真までたどり着ければ言うことありませんので、ぜひ撮影されたという写真を見せてほしいとお願いしてみていただけませんか。
お手数おかけして恐縮ですが、よろしくお願いします。
はじめまして
ちょっと気になったのでコメントしてみます
もし、そのような強烈な心霊写真が存在しテレビでも放送されたというのなら、他のテレビ局やそれ系の雑誌でも放送なり掲載されていると思うのですが、、、。
その形跡が無いという事は、これは先輩の怪談話しとして優しくスルーしておく方が、会社の人間関係の為にも得策ではないでしょうか。
怪談話しにマジ突っ込みするのは、相手の気分を害する恐れがあるので、もし突っ込むのであれば、先輩が話した時にするべきだったと思います。
後になって、あの写真は?と聞くのは、タイミングも聞き方も非常に難しい気が、、、。
ここは、探求する心よりも相手を気遣う心を大事にした方がいいような気がするのですが、どうでしょう。
>binさん
はじめまして。
私の書き方が悪かったようですみません。
テレビで放送されたかもしれない情報につきましては、こちらのコメント欄でも少し触れましたとおり、「あなたの知らない世界」があります。また、下記の274では関西ローカルの「エンドレスナイト」で見たという情報もあります。
http://mimizun.com/log/2ch/occult/1087486954
ですので、今回のお話はこれらの番組と繋がっているのかもしれませんし、独立した第三の情報なのかもしれません。
私としてはこれらについても知りたいところですが、番組名まで伺うというのは、さすがに無理だろうと思い、写真の有無と場所だけ伺っていただけないか提案した次第です。
ただ改めて、うなさんのコメントを読み返してみましたら、写真は先輩が番組に投稿されたとありますので、仮に実在しても手元にはなさそうです。(通常、送られた写真は投稿者に返すことはないので)
>うなさん
すみません。見落としていました。
写真について聞いていただかなくて大丈夫です。
いただいた情報はテレビに関係する新しい情報として参考にします。
自分もネットで懐かしい心霊写真を見るうちに、この写真だけどこにもないなと思い、検索したらここに辿り着いたところです。
自分が記憶しているのは、80年~84年頃の学研の毎月届けられる雑誌(科学とか)の心霊特集で見たことがあります。
インパクトがある写真だったのですが、それ以降見ることもなく、今となっては諸事情で表に出ないんだな。と考えていました。
手というより「無数の手の形をした何か」みたいな感じの写真で横からのアングルだった気がします。
>きたさん
情報ありがとうございます。類似の写真みたいですね。今後、80年代前半の雑誌も調査範囲に入れて探してみます。