新刊『謎解き 超科学』が出ます。
本城です。
10月24日にASIOSの新刊『謎解き 超科学』(彩図社)が出ます。今回はいわゆるニセ科学を中心に、超常現象とは少し違った怪しい話を「超科学」としてまとめました。
執筆メンバーは50音順に、石川幹人さん、蒲田典弘さん、ナカイサヤカさん、原田実さん、本城達也、皆神龍太郎さん、山本弘さん、横山雅司さんに加え、外部からニセ科学に詳しい菊池聡さん(信州大学)、黒川ゆきさん、小波秀雄さん(京都女子大学)、道良寧子さんにも執筆陣に加わっていただいています。
扱っている項目は全部で31。例によって個別事例を扱っています。あとがきは今回、蒲田さんにお願いしました。本書でどうしても多く登場する「科学的」という言葉について、わかりやすく解説していただきました。
その他、詳しい目次と内容は下記をご覧下さい。なお、本書は初版のうちの一部がコンビニでも置かれる予定です。増刷がかかればさらに割合は増えると思います。コンビニは読者層が広がりますので、できるだけ多くの方々の目に留まる機会が増えることを願っています。
目次
はじめに―かつての自分に贈りたい本(本城)
第1章 日常に潜む超科学の真相
●電磁波は健康被害を引き起こす!?
【浴び続けるとガンになる恐怖の波長】(蒲田)
電磁波対策グッズは巷でたくさん売られていますが、この記事ではそもそも電磁波とはどんなもので、どのような誤解があるのかというところから丁寧にわかりやすく解説しています。
●サブリミナル効果は存在するか?
【潜在意識に訴え、相手を意のままに操る】(皆神)
意のままに操れるわけではないけれど、サブリミナル効果を完全に否定できるわけでもない、実は一筋縄ではいかない真相があります。
●牛乳を飲むと不健康になる?
【ベストセラー本に書かれた衝撃の事実】(道良)
牛乳有害説は新谷弘実氏のベストセラー本によって広まりました。本項では有害説の根拠とされる主張を丁寧に検証しています。
●「磁気がコリをほぐす」は本当か?
【磁気治療器は効果があるのか?】(蒲田)
磁石を使用した健康商品はたくさん販売されていますが、ここでは厚生労働省が効果ありと判断した論文もあたって真相が調べられています。
●ゲルマニウムで治癒力が上がる?
【身につけるだけで効果が期待できる?】(本城)
ブレスレットや健康食品でおなじみのゲルマニウムです。身につけるタイプと飲食タイプに分けて真相を調べました。
●デトックスで毒素を排出できる?
【フットバスや足裏樹液シートで体内洗浄】(蒲田)
最近では美容法やダイエットでもおなじみです。「デトックス効果」などといわれることもありますが、本当に効果はあるのでしょうか。本項ではデトックスで使われる樹液シートの実験も行い、その実態に迫ります。
●「水からの伝言」の不思議
【ありがとうの言葉が水の結晶を美しくする】(蒲田)
江本勝氏の一連のベストセラー本の影響を受けた人は多く、現在でも彼らの波動ビジネスにはまる人たちは後を絶ちません。本項ではそうした現状も考え、実験の信憑性だけでなく、道徳としての有用性や波動ビジネスとの繋がりについても考察しています。
●「マイナスイオン」とはなにか?
【浴びるだけで効果がある大気イオン】(小波)
もう一般的にはほとんど怪しまれずに浸透してしまった感があるマイナスイオン。その実態と現状を追った本項は広く読まれてほしいと思います。関連商品のトルマリンにも言及されています。
第2章 自然界に潜む超科学の真相
●万能細菌「EM菌」とは?
【あらゆる分野に効果がある奇跡の細菌】(蒲田)
行政や教育現場へも普及しつつあるEM。開発者によれば「EMは神様」かつ「万能」だといいます。しかしこういった「これさえあれば」みたいなものは大概怪しいものです。EMも例外ではありません。
●ポールシフトは起きるか?
【かつて地球を襲った大異変ふたたび?】(山本)
北極点や南極点の急激な移動を「ポールシフト」といいます。マンモスが一瞬で冷凍保存されたとかいう話でよく出てくる説です。オカルト本でも地球を襲うとされる大異変の常連ですが、本当にそんなことが起きるのか、詳しく検証しています。
●フリーエネルギーは実現するか?
【エネルギー問題はこれで解決?】(山本)
いわゆる無からエネルギーを取り出す永久機関の話です。これが実現すれば歴史的な大革命であると同時に莫大な富を生み出すであろうことから、これまで数多くの人たちが挑んでは散っていきました。そんな歴史と実態を掘り下げます。
●隕石落下はどれぐらい危険か?
【ロシアを襲った脅威はまたくる?】(山本)
今年2月に起きたロシアへの隕石落下は記憶に新しいところです。本項では過去の歴史を紐解きつつ、隕石落下による被害の可能性も考察しています。
●百匹目の猿現象は本当か?
【ある群れの行動が他の群れへと伝播する?】(本城)
集団内である一定数を超えると、行動や情報がテレパシーのように一瞬で伝わるとされる現象を百匹目の猿現象といいます。現在、様々な活動においてこの現象によって奇跡を起こせると信じられている場合がありますが、事実は違います。この現象が起きたとされる記録を追いました。
●動物の地震予知はあてになるか?
【動物の行動から地震が予測できる?】(横山)
ナマズを筆頭に、地震を予知できるとされる動物は様々います。本項ではその可能性と立ちはだかる問題点について考察しています。
●キルリアン写真はオーラを写す?
【生命のオーラをとらえた奇跡の写真】(本城)
被写体に高電圧をかけると、その周囲を覆うオーラが撮影できるというキルリアン写真。その真相を探るべく、これまでに行われた研究を追い、自分でも体を張って実験を行ってみました。
●相対性理論は間違っている?
【物理学界を揺るがす大スクープ】(山本)
2011年9月に世界中を駆け巡ったニュースに、この「相対性理論は間違っている?」がありました。日本でも各紙が報じましたから、ご記憶の方もいるでしょう。本項ではこのニュースを筆頭に、これまで主張されてきた説をまとめ、そこに潜む誤解を指摘し、解説しています。
●「ID論」とはなにか?
【アメリカの科学者たちが提唱する新しい科学】(ナカイ)
ID論とは、いわゆる聖書をもとにした天地創造を事実とし、進化論は時代遅れの産物だとする主張のことです。アメリカでは教育の現場でこのID論を教えようとする運動が盛んに行われており、裁判にまでなっています。
第3章 人体にまつわる超科学の真相
●血液型性格判断は信用できるか?
【人間の性格は血液型で決まる?】(菊池)
本項では血液性格判断の歴史、現状、心理学者たちの研究結果の紹介に加え、なぜこれほどまで信じられてしまうのか、といった現役心理学者ならではの考察もあります。
●『ゲーム脳の恐怖』の真実
【ゲームをやりすぎるとゲーム脳になる?】(山本)
2002年のベストセラー本『ゲーム脳の恐怖』を取り上げます。著者の森氏が犯した誤謬の指摘に加え、ゲームの悪影響、犯罪との関わりについても考察しています。
●逆行催眠でよみがえる記憶
【潜在意識から記憶を取り出すテクニック】(菊池)
記憶を回復させるための心理療法とニセ記憶との関係を取り上げ、その危険性や問題点を指摘しつつ、臨床の知と科学の知を切り分ける必要性も説きます。
●母乳神話の真相
【乳幼児の食事で母乳にまさるものはない】(道良)
育児の現場で支持されていることもある、いきすぎた母乳至上主義を取り上げ、母乳が本当に主張されるような万能なものか検証しています。またWHOとUNICEFが共同発表した「母乳育児を成功させるための10か条」についても考察しています。
●千島学説は信用できるか?
【ガン細胞は汚れた血液から生まれる?】(ナカイ)
千島学説は8大原理と呼ばれる8つの原理によって構成される説で、現代医学とは真っ向から対立するものです。本項ではその成り立ちから解説し、主要原理を取り上げて検証しています。
●死者の網膜写真
【網膜に残された死者の記憶】(本城)
死んだ人の最後に見た光景が網膜に残されているという話です。フィクションの世界では題材にされることも多く、お馴染みの話ですが、実は海外や日本でも実際に研究が行われています。本項ではそういった研究を追いました。
●人間は真空中で破裂する?
【世間にまかり通る科学の俗説?】(横山)
映画でもおなじみの伝説です。真空で破裂するという説と深海でぺしゃんこになるという説の2つを取り上げて真相を解説しています。
第4章 美容と健康にまつわる 超科学の真相
●サプリメントの効能と効果の錯覚
【効果の裏側には大きな錯覚が存在した】(石川)
現在、市販されているサプリメントには様々な種類がありますが、一部を除いてはその有効性の根拠が不十分であるのが現状です。本項ではそうした現状を指摘しつつ、なぜ人はサプリメントに効果があると錯覚してしまうのか、その原因を4つに分けて解説しています。
●健康食品の広告トリック
【広告に張り巡らされた巧妙な罠】(石川)
健康食品の広告に見られる誇張や消費者の思い込みを利用したトリックをわかりやすく解説しています。こういったトリックは健康食品に限らず、他の商品広告でも見られるものですので大いに参考になると思います。
●ホメオパシーで病気は治るか?
【日本でも静かに広がる“代替療法”】(黒川)
ホメオパシーとは「レメディ」と呼ばれる砂糖玉を使った代替療法で、日本をはじめ海外で利用者がいます。本項ではその成り立ちから掘り起こし、理論や有効性についても検証しています。
●マクロビオティックの真実
【現代病を退ける奇跡の食事療法】(道良)
いわゆる玄米菜食を中心とした特殊な食事療法です。一見すると健康的に思えますが、マクロビオティックを徹底して実践すると問題点があることはあまり知られていないようです。本項ではその問題点をわかりやすく指摘しています。
●酵素栄養学の誤解
【酵素が健康で病気知らずの体を作る】(道良)
人間が生きていくうえで必要不可欠とされる酵素ですが、これを独自の理論と組み合わせて提唱されたものが酵素栄養学です。本項ではそのきっかけとなったアイディアにそもそも勘違いがあったことを指摘し、その理論の根拠にも不備があることを鋭く指摘しています。
●「オーリングテスト」とはなにか?
【筋肉の反応でなんでもわかる診断法】(ナカイ)
オカルト業界ではおなじみの、指を輪にして離れるかどうかみるテストです。ASIOSの動画ページでも紹介しているアプライド・キネシオロジーとも関係が深いため、両者を取り上げてその真相を解説しています。
●手かざし療法の危険性
【手をかざすだけで病気が消失する】(原田)
手かざしは、日本ではいわゆる新宗教系の団体で実際に行われています。また海外では医療関係者の間にも信奉者がいて実践されている例もあります。本項ではそうした手かざしの真相を追い、日本で生まれた悲劇も紹介しています。
あとがき―「科学的に考える」ということ(蒲田)
142ページ「血液型と性格の間に信頼のある関係があると思うか」の円グラフ、合計が130%になってます
出典が無いので確認できませんでしたが、元のグラフからこうなのでしょうか?
回答の選択肢を見ると「複数回答可」とも思えませんが
「全く思わない」「やや思わない」「どちらとも」が全部32%になっている辺りが怪しいとは思いますが(明らかに「どちらとも」が他の二つよりも多い)
本屋で見て来ました。
紀伊國屋さいたま新都心店では
精神世界コーナーに置いてあり、この本の隣には
スピリチュアルやUFOの本が置いてありました。
紀伊國屋浦和パルコ店では
サイエンスコーナーに置いてありました。
>通りすがった変な人さん
146ページですね。すみませんでした。正しくは「まったく思わない(17%)」「やや思わない(17%)」だそうです。
担当の菊池さんからは連絡があったそうなのですが、増刷には間に合わなかったそうで、次の機会に修正されるそうです。なおブログでは正しいグラフを別記事で他の修正箇所と一緒にアップします。
>通りすがりさん
情報ありがとうございます。他の方の情報も合わせますと、今のところは精神世界やスピリチュアルコーナーが多く、次にサイエンスという順番のようですね。