マクモニーグルはオウム逃亡犯の居場所を透視できた?
本城です。
先週、次の記事が配信されていて驚きました。
元公安警察官は見た オウム「平田信」の潜伏先を“透視”した元FBI特別捜査官のすごい能力
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/11050600/?all=1&page=1
何が驚いたかというと、書いてあることがまるでデタラメなのです。
たとえばこれ。
日本の警察は、捜査がうまく進まない難事件が起こった時、特殊能力を持った人にお金を払って捜査協力してもらうことができません。そこで警察は民放のテレビ局に働きかけて、特殊能力のある元FBI捜査官を招いて番組を制作してもらうことがあります。番組で犯人の行方を推測してもらい、捜査の参考にするというわけです
日本のテレビ番組で、自称超能力者が警察より先に犯人、もしくは被害者を見つけた事件は、1976年に千葉県市原市で起きた少女行方不明事件(詳しくは『超能力事件クロニクル』を参照)以外、ただの一つもありません。
まったく役に立っていないのに、30年以上もテレビ局に働きかけて番組を制作してもらっていたというのでしょうか? 参考にできる情報などなかったのに、何を捜査に役立てたかったのかさっぱりわかりません。
おかしなことは、まだあります。
日本のテレビに出演する元FBI捜査官では、マクモニーグル氏が最も有名です。透視能力に長けていて、日本で『FBI超能力捜査官』という本も出版しています
マクモニーグルがFBI捜査官などではなかったことは明らかです。アメリカでは一切、そのように名乗っていませんし、上記の本でも一切、そのようなことは書かれていません。
実際に読んでいればわかりますが、『FBI超能力捜査官』はタイトル詐欺みたいな本なのです。
さらに致命的にデタラメなのがこれ。
2002年から2008年までに計13回放映された特別番組『FBI超能力捜査官』(日本テレビ系)に、ジョー・マクモニーグルさんという元FBI捜査官が何度か出演しています。彼はアメリカの元陸軍諜報局の情報官で、平田がこの場所に潜んでいるか、或いは潜んでいたと言及しました。実際に捜査員がその場所に行ってみると、なんと平田がそこに潜伏していたことが判明しました
マクモニーグルが平田信の行方を透視したのは、『FBI超能力捜査官 第7弾』(2004年9月18日)でのことでした。このとき彼が透視した居場所は神奈川県の横浜です。
ところが平田は1996年から2011年12月31日の出頭時まで、ずっと大阪で暮らしていたことがわかっています。2004年当時、横浜になどいなかったのです。
しかも平田は2011年の年末に自分から出頭しています。マクモニーグルの透視がまるで役に立っていないことは明らかです。
ちなみに、日本テレビの『FBI超能力捜査官』シリーズでは、他にもオウム逃亡犯の居場所について透視が行われていました。参考までにここで紹介しましょう。
- ジョー・マクモニーグル
平田信=横浜
菊地直子=1996年に死亡
高橋克也=海外
- ナンシー・マイヤー
平田信=秋田
菊地直子=死亡
- ジョン・オリバー
菊地直子=死亡して富士山に埋められている
実際はどうだったか。
平田信=大阪
菊地直子=神奈川(死んでない)
高橋克也=神奈川
ご覧のようにまるで当たっていません。
「FBI超能力捜査官」はバラエティ番組で創作された架空の存在です。その役を与えられた自称超能力者たちが活躍できるのはテレビの中だけで、現実世界はまるで違います。フィクションと現実の区別はつけたいものです。
※ジョン・オリバーは2021年11月10日(水)に『ワールド極限ミステリー』(TBS)という番組でジョンベネ事件の透視を行う予定。