マーチン・ガードナー逝去

本城です。

すでに各所でニュースになっていますが、マーチン・ガードナーが22日に95歳で亡くなりました。私としては、先日、アメリカの懐疑団体CSIが発行する雑誌『Skeptical Inquirer』の最新号にガードナーの記事が載っていたことを知り、Twitterにてまだまだ現役なんだね、もっと長生きしそうだね、と話題にしていたところでした。

そのしばらく後にこの訃報です。年齢からすればそれほど驚くべきことではないのかと思います。ところが私の場合、まだ元気だと思っていた矢先の出来事でしたので、まるで若い人が突然亡くなったときのような強い驚きの感覚を覚えました。

『Skeptical Inquirer』誌の編集者、ケンドリック・フレーザーの追悼記事によれば、亡くなる10日前にガードナーから雑誌掲載用の原稿が送られてきたそうです。最後まで現役だったんですね。(遺稿は9月・10月号にガードナーの追悼特集記事と共に掲載されるとのこと)

○その他の主な懐疑論者による追悼記事

リチャード・ドーキンス
「Martin Gardner: Rest in peace, good old man」

ジェイムズ・ランディ
「MY WORLD IS A LITTLE DARKER…」
「For Those Who Have Inquired…」

フィリップ・プレイト
「Martin Gardner, 1914 – 2010」

マイケル・シャーマー
「Martin Gardner, 1914-2010」

このうちランディはマジシャン仲間でもありましたから、特に仲が良かったようです。70年代前半にはガードナーと共に「RSEP」(Resources for the Scientific Evaluation of the Paranormal)という超常現象を調査する少人数のグループを設立し、それがやがてCSICOP(現CSI)へと発展する際の核になっています。

CSIが自由形式でアンケートした「20世紀の傑出した懐疑論者十傑」でも、1位がランディで、2位に選ばれたのがガードナーでした。海外での人気と影響力の強さが伺えます。

ちなみにガードナーの懐疑的な本といえば、日本では『奇妙な論理』や『インチキ科学の解読法』が比較的知られていますが、それ以外でも『マーチン・ガードナー・マジックの全て』(東京堂出版)というマジック本もあります。

この本はマジシャンとしてのガードナーを集大成したもので、彼の考案したマジックを多数紹介。中にはユリ・ゲラーが使うトリックや、アメリカの超能力者養成学校で実際に使われていた透視能力テストの解説なども載っていて参考になります。

今回、久しぶりに読み返しましたが、やはりガードナーが書く記事は面白いと再認識。惜しい方を亡くしました。謹んで哀悼の意を表します。

マーチン・ガードナー逝去”へ2件のコメント

  1. お代官 より:

    私がマーチン・ガードナーにはじめてふれたのは、小学生のころでした。もう40年近く前です。
    ブルーバックスの数学パズルの本だったと思います。初めは数学者かと思っていたのですが。その後も、様々な氏の著書を貪るように読みました。
    科学を「勉強」ではなく、「楽しみ」として接触出来たのは、氏の様な、素晴らしい科学ジャーナリストがいたおかげだと思います。
    #むしろ「勉強」した成績はあまりふるわなかった。
    結局、大学も理学部を選択し、現在も技術者を続けています。
    自分の人生の方向を決めてくれた、氏の冥福をお祈りします。

  2. 本城 より:

    ガードナーは科学の話を楽しめるように書くのが上手かったですね。子ども向けの記事もたくさん書いていたようですし、海外でもお代官さんと同じように、子どもの頃にガードナーの本を読んで影響を受けたという方が多くいるようです。
    おそらく、これからも彼の本は読まれ続け、若い人たちに影響を与えていくのだと思います。

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