不死身の男? ミリン・ダヨ
本城です。
先日、番組紹介の際に少し触れた「剣を刺されても死なない男」ミリン・ダヨですが、12日(月)放送の「不可思議探偵団」という番組でも扱われるようです。
▼2010年4月12日(月) 19:00~20:54 日本テレビ
「不可思議探偵団SP」
▽剣が体貫いても生き続ける…不死身男の謎▽2036年小惑星が地球に衝突…人類滅亡の謎▽森三中キャッツアイ70年封印(秘)金庫開けろ▽81歳の元大学教授は女装の天才…禁断の謎▽恐怖の廃虚ホテルにカリスマ美女号泣狂乱(番組表より)
ダヨの名前は出ていませんが、おそらく「不死身男」とは彼のことでしょう。
ちなみにテレ東で4日に放送された番組でも、実際にダヨの映像を医師(北里大学)に見てもらっていました。映像を見た医師は当初、ピアスの穴のように体に穴を開けておく可能性を指摘。ところがよく見ると穴は複数開いているので、それだと常に同じ穴を通すわけではないので医学的には説明がつかないと結論。そして番組もそれを支持し、結局、未解明という扱いでした。
しかし他の医師もみんな同じ結論を出すのかといえば、そんなことはないようです。私が調べたところ、以下の番組を見つけました。
これは2006年にイギリスのBBC3で放送された「The Indestructibles」という番組の一部です。この番組は人体の不思議を解明するという趣旨のもと、4人のキャストが実験や専門家へのインタビューを行なっていくというもので、上の動画ではそのうちの一人、データ・ガール役のビクトリア・クルーガーが、ミリン・ダヨの映像を扱っています。
そして、後半に登場するのがジェニファー・ソーという女性医師。彼女はダヨについて次のような見解を述べています。曰く、ピアスの穴のように体に穴を開けることは不可能ではない。ダヨの場合は重要な臓器を避けるようにして徐々に穴を開けていったのではないか。さらに開いた穴にチューブのようなものを仕込んでおけば、臓器を傷つけることなく剣を通しやすい。実際、ダヨの背中には剣を刺す前から穴がいくつか開いている。医学的に不可能ではない、とのことです。
ちなみに心霊手術などにも詳しいジェイムズ・ランディも、ダヨの映像を見た上で、剣を実際に刺しているのは間違いない、ただ重要な臓器を避けて剣を通しているのではないか、という見解を示しているようです。
確かに、ダヨの体には剣を通す穴がいくつか開いています。しかも多くの映像を見ると、ほとんどの場合、助手のグルートがその穴に剣を通しているんですよね。実際、体に開いている穴は以下の動画が確認しやすいです。(現在閲覧不可)
出血がほとんどないのは、基本的にピアスと同じ原理だからのようです。私も左耳にピアスの穴を二つ開けていますが、もちろんピアスを抜き差しする際に出血はしません。
また耳ではなく、他の部位にボディ・ピアスをしている人もいますね。さらに調べたところ、苦行の類として金属の棒を体に何本も突き刺すことができる人もいるようです。
たとえば以下の動画。1分50秒あたりから体中に金属棒を刺しまくっています(ただし皮下脂肪部分)。3分20秒からは舌を貫通してあごの下から棒を突き出しています。(グロ動画注意!)
他にも、タイのベジタリアン・フェスティバルでは顔に金属棒を突き刺す苦行が行われています。(写真は『Fortean Times』の2005年3月号に載っているのですが、グロすぎるので紹介は控えます)
また、ダヨより前の時代には、MORTADOという見世物芸人が手と足から水を噴水のように出すというパフォーマンスをしていました。(写真)
これは実際に手と足に穴が開いていて、水が出る仕掛けの椅子にはりつけ状態になると穴を通して水が出るようになっていたそうです。(観客を驚かせるために血を仕込んでおくこともあったとか)
そのようなわけで、体に穴を開けること自体は不可能ではないようです。
……ただしよく調べてみると、ダヨの場合助手ではなく、医者が顔を背けて剣を刺したことがあるという情報もあるんですよね。そのためまだ反証は考えられますので、この件は引き続き調べるつもりです。今後新しい情報があれば追記していきます。
【2012年4月5日追記】
その後も追跡調査を続け、結果をまとめた記事を『謎解き 超常現象Ⅲ』に書きました。
みりんだよ さんでしたよ彼。
不死身だよ、つって木劔なり刀なり(あるいは拳足)でシバイたら、とても不死身ではいられないと思いますが。
なんつって。
あぶない話しは置いといて、あれ痛みや臓器の安全については助手が熟練してれば問題ないと思うけど出血なしはピアッシングでなければ説明つかないかと、たしかに感じました。
彼は並はずれた痩身(タノ以上)なので、そうした身体加工も通常の人らよりかは容易かも知れんですが、だとすると、たいそう手間ヒマかかった不死身ですね。不死身たもつために体型を維持した生活しなきゃ耳とは違って加工孔が変形もしくは消失する惧れあるし。
重要な臓器を避けるようにして徐々に穴を開けていくにしても、専門的な知識や技術が必要そう…。
下手したら、大丈夫なようになる前に、準備段階で死んでしまいそうな気がします。
もしわざわざピアス状態にしたんだとして、その動機はメッセージを人々に伝える事でしょうか?
すごい根性ですね。
動画、すごいのばかりでちょっと引きました。
顔に金属棒のも一応、見てみたいような、見たくないような…。
体はって金を稼ぐ時代だったんですね。
追記に期待します。
>タノQさん
確かにミリン・ダヨでした。でもわずか1分! ただ映像を紹介して終わり。検証なし。あんなに短くて薄い内容だとは予想してませんでした。
>耳とは違って加工孔が変形もしくは消失する惧れあるし。
チューブのようなものを入れていたとすれば、そういった穴が塞がるのを防ぐ目的もあったんではないかと思います。
>Y・Yさん
>下手したら、大丈夫なようになる前に、準備段階で死んでしまいそうな気がします。
まさにそのとおりで、実際命がけだったんでしょう。ダヨの場合、死因を考えると血管が特殊というわけではなかったようですし。
>もしわざわざピアス状態にしたんだとして、その動機はメッセージを人々に伝える事でしょうか?
おそらくメッセージを伝えることは後付けで、もともとの目的は体をはって稼ぐことだったように思います。(当時は戦後の混乱期で仕事を見つけるのも大変だったようです)
>顔に金属棒のも一応、見てみたいような、見たくないような…。
見ないほうがいいです!
私はまだ頭から離れません・・・・・・
>タクシー運転手さん
>体はって金を稼ぐ時代だったんですね。
そのようです。ただ残念なのは、当時こういったことを専門的かつ懐疑的に調べる者がほとんどいなかったこと。ハリー・フーディーニが亡くなって、ランディが登場するまでの空白期間だったのが悔やまれます。
実際に心臓とか貫通した状態でのレントゲン写真とかも実在するらしいですよ??
>上上上さん
はじめまして。
私が調べた限りでは「心臓に貫通した状態でのレントゲン写真」というのは今まで見つかりませんでした。(心臓ではなく体を貫通した状態のレントゲン写真なら実在します)
上上上さんがご存じのお話は心臓を貫通したものだったでしょうか? だとすればぜひ見てみたいので、どこでお知りになった情報かご教示いただけましたら幸いです。
ミリン・ダヨ氏の件に関しては「スイス医学週報( “Schweizerische Medizinische Wochenschrift” )/1947,48」に掲載された、チューリッヒ外科外来のシュレプファー氏およびバーゼル医学協会のウィントゥリッツ氏の論文を確認されたし。
上記の医師らの検証(また後の臨床的研究)により、ミリン・ダヨ氏のケースは奇跡でもなんでもないことは(不死身ではないことが)あきらかとされている。
元来はとっくにかたのついた件。それが依然として奇跡的に語られるのは、奇跡とする方が利用価値が大きいからにほかならない。まっとうな医師においてはあほらしいので改めて提起するまでもない問題だと思います。
>kickbackさん
ご教示ありがとうございます。
論文を入手して確認したいと思います。
そういえば、スイスの医師には懐疑的な人もいるみたいで、最近の動画もあったのですが、ドイツ語がわからなくて困っていたとことでした。今後はドイツ語のわかる方を探してみます。
彼の動画はユーチューブに沢山ありますよ。
刀剣のケースはどうなんでしょうか。
後ろから右胸を突き刺す動画。
肺のような大きな臓器をどうやってスルーすののでしょうか?そもそも内臓は単にウエハースのごとく重なっているわけではないでしょう。
複雑に前後上下と重なっているもの。
ただの一人でも同じことが出来る人でもいれば納得しますが、否定論としては拙いです。
尚、腕や顔の皮膚を刺す動画は何の意味もありません。
>jijiさん
ダヨについては1947年にチューリッヒ大学病院で詳しく検査されています。その際のレントゲン検査では、見た目には肺や心臓を貫通しているように見えても、実際には貫通していなかったことが判明しています。
またこの結果を受けて、後に動物(ウサギ)を使った剣の刺入実験も行われました。その結果、腎臓、脾臓、肝臓、胃、肺に剣が刺さっても多量に出血することはなく、死に至ることもないことがわかりました。(実験後も通常の健康状態)
しかし、心臓、大動脈、大静脈に剣が刺さった場合は、多量に出血し、死に至るという結果でした。
これらはダヨと同じく、刺入のスピードをコントロールした場合です。つまり重要になるのは、心臓や重要な血管を避け、スピードをコントロールして剣を刺すこということです。
(そのためダヨは、第三者に目隠しをさせて、どこでもいいから勢いよく刺させるということができませんでした)
またダヨは、これらに加え、「ろう孔」と呼ばれるピアスの穴の原理も利用していたと考えられています。医師の見解では、ダヨの体にいくつか開いている穴は、このろう孔(途中で失敗した穴も含む)だとのことです。
10年以上前の記事ですが、昔から私が気になっていた人物を扱っていたので、興味深く読ませていただきました。興味深い記事をありがとうございます!
ミリン・ダヨを知ったのは、『投影された宇宙』マイケル・トールボット著からです。
この本自体は、理論物理とオカルトを上手くくっ付けたエンタメっぽい感じの本でしたが、その中に登場するミリン・ダヨは、他のいわゆる超能力者やオカルトエンターテイナー達と少々異質な感じがして、私なりに調べてみました。
文献資料や当時の記録などを読む感じでは、不可解な人物というか、よくわからない人物ですね。
この行為に関しては、医学的に可能である・・・というのは事実だと思います。
「人体の構造を熟知した者が上手くやれば可能」なのでしょう。
ただ、このミリン・ダヨという人物、スプーン曲げやイタコ芸の類と同等のパフォーマンス、
単純にインチキだの詐欺師だのとして括ってしまうのも、どこか違和感感じます。
そもそもそのような医学的知識に熟知していたのかどうか、このような知識をどこで手に入れたのか。
そもそも、あの時代、自分の内臓を確認するCTもMRIもなく、胴体にフェンシングの剣を指して成功させる可能性ってどのくらい?
また無痛症ではなく、自己暗示で痛みをコントロールしていたと考察してる人もいますが、そのような技術もどこで手に入れたのか・・・
そもそも生活のためにこのような危険な真似をする必要がそもそもあったのか?
もともと彼はデザイン会社勤務であったし、生活に困窮していたのか?
この辺りは当時の彼の身近にいた同僚なども既にいないことから、実際は会社を首になって家族を養わなくてはならなくなったのかも知れないし、すべて憶測でしかなく、確認しょうがありませんが。
かといって、本当に神秘の力で不死身になったのかというと、それも信じがたい。
大道芸で人を集めて宗教的な説教をするというのは、それこそ旧約聖書の時代から行われていたものでしょうし。
結局、「なんだか、よく分からない」というのが結論なのですが、とりあえず自分が納得するように考えたのは、次のような感じです。
もともとミリン・ダヨ氏は精神世界に傾倒していた。デザイン芸術系の仕事をしてる人にはそういう人が多いです。
ある時期、彼自身が個人的に何らかの神秘体験をし、不死身になったという妄想を抱いて、布教的な活動へのモチベーションが高まった。
奇跡を示すために、自分の体に剣をゆっくり指したら、たまたま内臓を避けてうまく貫通する場所をみつけた。そして、運よく感染症にもかからずピアス効果でその穴が何か所かできた。
(あるいは、実は人体構造を熟知するほど医学知識に長けていた、あるいは、同等のパフォーマンスを行う興行師を個人的に知っていて技術を伝授してもらった???)
アムステルダムやスイスで布教活動をしようとしたが、医者からパフォーマンスの確認が制限されてしまい、パフォーマンス芸が原因で亡くなってしまった。
・・・書いてて、こっちの方がこじつけの気がしてきました^^;
因みに、チューリッヒ大学のスイス医学週報(“Schweizerische Medizinische Wochenschrift”)/1947,48という文献も探してるのですが、オリジナルを見つけることができず。
また、ミリン・ダヨと同じようなパフォーマンスを行ってる演者は多くいると、よく言われていますが、写真や動画で見る限り、皮下脂肪をや手足を刺してるだけで、ミリン・ダヨほど胴体の真ん中で貫通させてる人はいないですね。
とはいえ、奇跡とするには安易すぎるし、インチキとするにもどこか腑に落ちない
医学的に可能なのは理解できましたが、それを医学とは無縁の(と思われる)彼が、感染症も起こさずに成功させたのは奇跡かもしれません。
なかながと長文失礼しました。m(__)m