『江原啓之 本音発言』(2)

本城です。前回の続きです。

今回は86ページにある「なぜ捜査協力しないのかというバッシングは無責任」という項目から。

質問者:(『週刊文春』の記事から引用して)「すべてが視えるなら、なぜ捜査協力しないのか」。

江原:これは『江原啓之への質問状』(徳間書店)という書籍ですでに答えていることです。本を読んでくださいと言って終わりにしたいくらいです。

質問者:私は読ませていただきましたが、捜査機関がご自身や家族の安全を保証してくれる態勢が整わない限り、危険すぎて無理だという話ですよね。

江原:だいたい、捜査協力をしたいと思ったらこちらから出向いていくんですか? 今のところ警察からのオファーはないんですよ。飛び込みで「あの~、霊能力を使って犯罪捜査に協力したいんですけど」って切り出して、受け入れてもらえるのでしょうか? こんな質問を堂々と掲載する雑誌は社会性が低いと言わざるをえない。

質問者:確かに批判になってないですね。

江原:その上で現実的な話をすると、仮に捜査機関から依頼があったとしても、以前言った通り安全性の問題があります。私だけじゃない、妻や子どもだっているんですから。イギリスのネラ・ジョーンズという有名な霊能者は、自発的に捜査に協力していたんです。ただ、そのために何度も命を狙われているんですよ。恐ろしい話をネラから何度も聞きました。

質問者:へーそんな人がいるんですか。

江原:ネラも、居場所をバラされたら困ると考えた犯人から殺されかけたことが何度もあったそうです。ネラとよく会っていた頃、坂本弁護士一家殺害事件があって、あるマスコミ関係の人から「ネラに橋渡しをしてほしい」と頼まれたことがありました。

そこでネラに相談したところ、「関与すれば殺される」と本人が断ったのです。ネラは私にも「この件には一切かかわってはいけない。巨大なマフィアのような組織がかかわっている」と言っていました。

あの時、もし私がかかわっていたら、命を狙われていたかもしれません。そうするといまの私はなかったわけです。いま、いろいろといわれのない批判を受けて嫌な思いをすることもありますが、生きているからこそ公演やや書籍の執筆など、さまざまな活動を通して皆さんにスピリチュアルリズムの真理を伝えることができる。

犯罪捜査のことでいえば、自分の身は自分で守らなくてはいけないのが現状です。簡単に捜査に協力しろなんて、無責任なことは言わないでいただきたい。


さて、一連のやり取りは以上です。これを見るといくつか言いたいことが出てきますね。

まず、警察に行っても相手にしてもらいないのでは? という件。これは確かにその通りだと思います。でも警察と直接関わらなくても犯罪捜査に協力はできますよね。「TVのチカラ」や「超能力捜査官」シリーズのような番組を作るか出演して、そこで独自にやればいいわけです。

次に安全性の問題。江原さんはよくネラ・ジョーンズの話を出しますが、実は彼女、93年に亡くなっています。つまり死人に口なしの状態。ネラとの個人的なエピソードを語ったところでほとんどが確認不能です。

それに超能力捜査に関わると本当に命を狙われるのでしょうか? 私は甚だ疑問だと思っています。これまでビリーバー寄りの超能力捜査番組を海外も含めて数多く見てきましたが、ネラ以外で「命を狙われた」なんて言っている超能力者を見たことありません。さらに実際に殺されてしまった超能力者など1人もいないはずです。

日本より治安の悪い海外ですらその程度です。もちろん家族がいる超能力者も自分から積極的に首を突っ込んているのが現状です。またこの他に、根拠となっているネラ・ジョーンズ自身に対する疑問もあります。江原さんによると、「ネラは50件以上の未解決事件を解決した」(「江原啓之&嵐SP!!明日への扉・序章」2007年3月31日)といいます。

ところが、同じイギリスに住む筋金入りのビリーバーとして有名なコリン・ウィルソンの著書『サイキック』(三笠書房)では、超能力捜査を扱っている章で彼女の名前がまったく出てきません。

もともと『サイキック』の原題は『THE PSYCHIC DETECTIVES』で、そのものずばり「超能力探偵」です。そんな本であるにもかかわらず、ネラについてはまったく言及されず、しまいには「ランズネルによるブーハ事件の解決を唯一の例外として、透視者が殺人事件―もしくは重要な犯罪事件―を解決した霊は実際はひとつも存在していない」(P.324)なんて書かれています。

また、今のところ私は調べている途中なんですが、ネラが関わった事件の中で最も有名なものだという「ヨークシャーの切裂き魔事件」についても、イギリスの懐疑論者が検証していて、こじつけであることが指摘されています。

さらに以下の動画。ジェイムズ・ランディがイギリスの「Psychic Investigator」という番組でネラ・ジョーンズを検証したものです。番組ではネラの主張するサイコメトリーが犯罪捜査で使えるものか検証しているのですが、結局、まともに当てられず失敗に終わっています。

つまり、これまでの話を総合すると、江原さんが超能力捜査について言っていることは非常に怪しいと思うわけです。はっきり言ってしまえば断る理由はないんじゃないかと。

今のところ日本の番組で未解決事件を解決した超能力者、霊能者はゼロです。もし2件でもいいので解決できたら、偶然の可能性も極めて低いのでご自身の霊能力の信憑性は格段に増すと思います。ぜひ江原さんには超能力捜査をやってほしいものです。

『江原啓之 本音発言』(2)”へ4件のコメント

  1. takumi より:

    いつも楽しみにしています。
    分からないものに対するASIOSの皆さんの分析・評論は、私からすると非常に誠実な態度に見えます。
    江原さんという存在には以前から興味があったので、今回の一連の分析もとても興味深く見ております。
    私は現時点では、江原さんの「(1)霊能者としての能力」と、彼の語る「(2)スピリチュアルな世界観や行動原理」を分けて分析する必要があるのでは?と考えています。
    (1)については、要は「その人しか知らない事を言い当てる能力」があるのか無いのかに絞って良いと思いますが、「オーラの泉」などを見る限り、なんらかの能力がありそうな気もしています。
    考えられるパターンとしては、
    「そもそもテレビ局やゲストなどとグルである」
    「ゲストには知らせないが、リサーチャーなどを使って事前調査をしている」
    「コールドリーディングなどの会話上のテクニックを使っている」
    「実際に超上的な能力を使っている」
    あたりに分けられると思いますが、ヤラセなどの問題もありテレビ局とグルであったり、リサーチャーを使うといった方法は、現在では番組的にもリスクが高すぎるような気がするのです。(甘すぎますかね?)
    またコールドリーディングなどの手法も限界があると思うので、ASIOSの皆さんが「ゲストが秘密にしていた事を言い当てられている(またはそのように見える)現象」をどう分析されるのかに興味を持っています。
    ただ、女優さんの実のお父さんが亡くなっていなかった件や、「今は穏やかな生活」と霊視して逮捕された小室哲也さんの件など、だいぶボロが出てきてしまった印象もありますが。
    (2)については今回の記事に限らず、正直矛盾だらけでガタガタな印象を受けます。
    江原さんに限ったことではありませんが、霊能者の方々の不誠実なところは、ご自分に都合の良い世界観だけを語り、論理的な検証を許さない点につきると思います。(それが商売だと言ってしまえばそれまでですが・・・)
    霊の存在一つとっても江原さんは「草木や石などにも霊は存在する」というアミニズム的な世界観を主張していたと思いますが、それならコケやウイルスにも霊はいるのか?隕石やノートパソコンには?といったように、いくらでも素朴な疑問が出てきますが、今後もそういった疑問に答えることはないでしょう。
    ただ、だからといって馬鹿にして無視したり、逆に安易にビリーバーになったりせず、こちらのサイトのように一つ一つ丁寧な検証をしていくことが重要な態度だと思っています。頑張ってください。

  2. 週刊文春 レーシック

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    『週刊文春』の江原啓之氏への疑問の記事について今日発売の『週刊文春』に江原啓之氏に対する7つの疑問という記事が掲載されていますが・・・。読まれた方どうでした?私は、半分納得、半分うーん?という感じだったのですが・・・。自分は別に、江原氏を支持しているわけもなく、批判しているわけでもありません。普通に記事を読んだ感想です。やっぱり、ちょっと怪しい…

  3. 肉球仮面 より:

     こんにちは。いつも楽しみに読ませてもらってます。
     捜査協力をすれば命を狙われるのだとしても、江原氏は、霊能力で自分や家族に迫ってくる危険が分かるのではないのですか? 事前に危険が予知出来るのであればそれから逃げるのは容易なことの筈ですし、何なら警察に 「これこれの事件の犯人が私の命を狙ってどこそこまで来ています」 と通報すれば、即、犯人を検挙出来ると思うのですが・・・。

  4. 本城 より:

    >takumiさん
    >(1)霊能者としての能力
    秘密にしていた話を当てられた、という件については、検証側する側もプライベートなところまで突っ込んで調べなくてはなりませんし、逸話の数も多いのでかなり大変なところがありますね。
    そのため一番現実的なのは、第三者が確認できる具体的な予言や、一般の人を対象とした個人鑑定などを検証するやり方です。
    ジュセリーノや細木数子はこういったことを検証されてボロが出ました。
    ところが江原さんは、具体的な予言をあまりしませんし、個人鑑定もやっていません。そこがうまいところです。もし個人鑑定だけでもやっていたら、直接検証することも可能になりますので、もっと調べやすかったと思います。
    >ご自分に都合の良い世界観だけを語り、論理的な検証を許さない点につきると思います。
    私もそう思います。検証の場というのは、それが事実であれば認められ、祝福を受ける公平な場であるということを江原さんは理解されてないようです。
    >肉球仮面さん
    そのあたりを具体的にいうと、江原さんによれば4つの守護霊のうちのひとつに「支配霊」というのがいるそうなんですね。それは10年先の未来まで見ることができるといいます。つまり、その支配霊にいつ危険が起こるのか聞いておけば対策も練られると思うんですよね。江原さんは守護霊と会話もできるみたいですから。

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